【視点】観光中心に経済拡大の1年

 八重山では陸上自衛隊配備計画が佳境を迎えた。防衛省が買収した民有地では用地造成工事が始まり、石垣市は市有地の部分を売買、賃貸する方針を固めた。売買には市議会の承認が必要になる見通しで、早ければ年明けの臨時議会に議案が上程される。最後の山場となるだろう。
 本土では台風をはじめ災害が多い年だったが、沖縄でも秋口まで大型台風の襲来が続いた。地球規模の気候変動の影響かも知れないが、沖縄にとって最も身近な脅威が台風であることは今も昔も変わらない。
 とりわけ9月末の台風では、石垣市、竹富町を中心に大規模通信障害が発生し、住民はあらゆる通信手段が遮断されるという未曽有の事態を初めて経験した。天災だけでなくテロに備える意味でも、この事態の教訓を将来に生かさなくてはならない。
 首里城の焼失も一種の天災だったのだろうか。多くの県民に衝撃を与えた悲劇だったが、いまだに原因究明は進まない。県が前のめりなほど再建を急ぐ中で、離島振興に関しては県と離島の隙間風が感じられる場面が多くなっている。首里城の早期再建を目指すことに異論はないが、離島振興や福祉向上など、県が抱えるさまざまな課題との間で、バランス感覚を持って優先順位をつけることが大切だ。知事にそのバランス感覚はあるのか。
 沖縄の将来を担う児童生徒の活躍も目立った。離島から甲子園を目指した八重山農林高校野球部の快進撃は、とりわけ象徴的だったように思える。離島に住むことがハンディにならない時代。遅々とした歩みではあるが、その実現へ、今年も前進した1年ではあった。

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