【金波銀波】かつての世界的大企業トップが…

 かつての世界的大企業トップが保身のため、なりふり構わぬ姿を見せた。日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告が国外逃亡に使ったという楽器ケース。世界の注目を浴び堂々とプレゼンしていた人物が、この中に身を潜め、息を殺して航空機内に運ばれたのかと思うと、哀れを通り越して滑稽(こっけい)だ◆被告には「無罪請負人」と呼ばれる優秀な人物を中心とした弁護団がつき、検察の反対を押し切って保釈を勝ち取った◆日産は逃亡を警戒し、警備会社に依頼して被告を監視させたが、弁護団が刑事告訴も辞さない構えを示し、強硬に監視を中止させたという。依頼人の利益を最大化するのが弁護士の仕事ではあるが、結果として被告の逃亡をお膳立てした◆弁護人の一人はブログで「裏切られたという思い」と記したが、自らの結果責任には言及しなかった。自分も被害者だという主張なのかも知れないが、釈然としない◆最近は6人殺害犯の死刑を回避したり、娘に性的暴行した父親に無罪を言い渡したりと、国民感情からかけ離れた裁判官も目立つ。法曹界の常識が一般人と乖離(かいり)しつつあるのだ。今回の弁護団も、そうした非難は免れないのではないか。少なくとも「これが弁護士の仕事だよ」と子どもには語れまい。

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