石垣産バニラ商品化 完全無農薬、さわやかな香り

販売する商品を手にする金城さん(左)と望月主任=21日午後、県庁

 石垣バニラ(石垣市・金城美沙江代表)は21日午後、県庁で記者会見し、県内で初めて商品化に成功したバニラビーンズを販売すると発表した。バニラ香料の原料となる製品で、業務用としては既に提供していた。25日から石垣市内のJAファーマーズマーケットゆらてぃく市場で一般客向けの商品を販売する。
 バニラビーンズは金城さんが1人で生産と加工を行う。2011年11月に八重山地区農山漁村女性組織の事業で、八重山農林高校が栽培したバニラの苗を家庭菜園用として入手。日本では営利栽培が難しい現状を知り「できたら面白い」と感じ商品化に挑戦した。

 翌年3月から100鉢ほどを植え、栽培を始めたが、「キュアリング」と呼ばれるバニラ特有の香りを持たせる工程で苦労した。県工業技術センターが成分分析や技術支援を実施。ハワイやマダガスカルなど他国の技術を参考に改良を行い、八重山農水振興センターや八重農の指導も受けた。苗を植え、開花からキュアリング技術の確立まで約8年の歳月をかけ、商品化を実現させた。
 「沖縄はバニラの栽培に適している」と金城さん。200平方メートルの農園で、完全無農薬のバニラビーンズを年間10キロ生産する。他国産と違い、さわやかな香りが特徴。湿度や温度、水分量などの管理を行い、一人でバニラの花に人工授粉を行う。「農園を拡大させたい。県内で県産バニラを広めたい」と事業拡大を夢見る。業務用は市内のホテルレストランや宮古島のスイーツ店と東京支店に提供されている。「エステ用のオイルなどにも活用できる。展開は幅広い」と笑顔を見せた。
 会見に同席したセンターの望月智代主任は「私たちもバニラビーンズの加工実績がなかった。海外文献を参考に、加工技術を拾い上げた」と苦労を振り返った。「課題は香りを上手く出すことだった。酸っぱく青臭い匂いやカビが生えるなどの問題も出た」と説明。沖縄で初めての県産バニラビーンズとして「県内の食品や製品だけでなく、観光業への貢献も期待できる」と太鼓判を押した。
 今後、金城さんは「ChulaSya」のブランド名で商品展開を図る。25日からは「バニラビーンズ」を通常価格1800円から販売する。問い合わせは090(7920)9545。

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