優勝インタビューを見て、涙腺がゆるんだ視聴者も多かったかも知れない。初優勝を決めた瞬間、感極まって顔をくしゃくしゃにした姿には、思わずもらい泣きしてしまいそうな実感がこもっていた。
大相撲初場所で、徳勝龍が幕尻優勝を飾った。番付最下位の力士が果たした20年ぶりの快挙を「下剋上」と報じたメディアもあった。33歳5カ月の初優勝は歴代3番目の遅さ、日本出身力士としては最年長という。
徳勝龍の初優勝には、日本人好みのドラマが数多く詰まっている。
十両や平幕下位が長く、ほとんど目立たない力士だった。同じ年齢には引退した横綱・稀勢の里や、奇しくも同じ初場所で引退を決めた大関・豪栄道がいる・出世争いでは同期に大きく先を越され、スポットライトを浴びる機会にも恵まれなかったが、一度の休場もなく、黙々と相撲を取り続けてきた。