【視点】新型肺炎、運営問われる国際機関

 伝染病の流行という非常事態に及んでも、中国は「一つの中国」原則にこだわり続けている。台湾が流行地の中国武漢市にいる住民を連れ戻すため手配しようとしたチャーター便就航の打診を、事実上拒否。中国の航空会社がチャーター便を運航する形を取ることで何とか決着したという。
 国連やWHОが、こうした中国のやり方を黙認し続けるなら、感染拡大の危機をむしろ増幅させてしまう。
 もともと、国連は第二次大戦の戦勝国を中心とした社交クラブのような状況にあり、中国の人権問題に対する批判も事実上タブーだ。
 一方で日本に対しては「特別報告者」が沖縄の基地反対運動に対する取り締まりを、あたかも政府による人権抑圧のように批判。委員会が沖縄県民を一方的に「先住民」と規定する勧告を出すなど、一部の活動家の意見に左右される組織になってしまっている。
 仮に中国が尖閣諸島に侵攻した場合「国連が黙っていない」として石垣島への自衛隊配備に反対する意見もあるが、国連の体たらくを見れば、全く当てにならないことは明らかだろう。
 国連人権理事会は2015年、翁長雄志前知事が米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対するスピーチを行った場でもある。トランプ米政権は18年、「最も深刻な人権侵害国が理事国になっている」などとして同理事会を脱退した。
 世界各国が一堂に会する場として国連やWHОの存在意義はある。日本でも「国連中心主義」を唱える声は根強い。ただ国連の実態はこの程度のものだし、国連以外の国際機関も決して公正中立だと言える状況にない。
 日本としては、こうした国際機関に過度の期待はせず、あくまで国益第一を念頭に置きながら、独自の行動規範を練り上げていくほかない。

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