【視点】緊急事態宣言視野に準備を

 沖縄は年間1千万人以上が訪れる観光地で、地方都市とはいえ、特に本島は大都市の新型コロナウイルス流行が直接的に波及しやすい条件下にある。今まさに、東京や大阪などで流行が顕著になっていることを考えると、沖縄でも時間差をおいて同じことが起きる確率は高い。
 そうなると、何より心配なのが医療体制の維持だ。もともと沖縄は、潤沢な医療資源に恵まれているわけではない。県内の感染症対応病床は約40床しかないが、入院患者数は既に50人以上に達しており、一般病床を含めて対応せざるを得ない状況になっている。
 重症者は現時点で3人だが、さらに増えた場合に備えて病床を空ける必要があり、軽症者を受け入れる宿泊施設の確保を早急に進めなくてはならない。病床そのものも増やす必要があり、病院以外に大人数を収容可能な施設の利用も想定すべきだろう。
 今後、重症者が急増した場合、果たして収容場所はあるのか。治療に当たる医療スタッフや機器は足りているか。スタッフが疲弊すれば、新型コロナウイルス以外の病気やけがの治療が手薄にならないか。
 沖縄は、医療体制がとりわけ脆弱な離島を多数抱えており、医療崩壊の危険性はなおさら高い。切迫度が大都市圏とはまるで違うのである。宮古や八重山など、本島から離れれば離れるほど、離島での感染者発生時のインパクトはより甚大になる。
 県内の感染者数がある程度の規模に達する見通しが立てば、県は独自の緊急事態宣言を躊躇(ちゅうちょ)すべきではない。その上で、より強い営業自粛の要請など、政府の緊急事態宣言に準じた措置を講じるべきだろう。
 感染拡大がスピードアップしてきた今、緊急事態への備えを固めるために残された時間は少ない。

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