【視点】〝出口〟の先にも変容した社会

 全国的に新型コロナウイルスの感染拡大は続いているが、地方によっては感染者増加のペースが衰えているところもあり、営業や外出の自粛解除に向けた「出口戦略」の議論が活発化し始めた。沖縄では5月に入って新たな感染者が確認されておらず、〝出口〟への模索が始まっている。
 4日に開かれた県の専門家会議では「活動再開へのロードマップ」案が提示され、石垣市の中山義隆市長は6日「新型コロナショックからの回復プラン(1)」を発表した。
 ロードマップ案では、経済の状況を「活動自粛」「段階的な活動再開」「活動再開」の3段階に分類。新規感染者、入院患者数が10万人あたり1人未満となることに加え、感染経路不明の患者が少なくとも1週間確認されない場合に「段階的な活動再開」、2週間確認されない場合に「活動再開」に移行する、との目安を示した。
 沖縄の人口は約140万人であるため、具体的には入院患者数が14人以下になることなどを意味する。
 国、県の緊急事態宣言は今月末まで続く見込みで、県は商業施設などに対する休業要請を20日まで延長した。早ければ21日から休業要請が解除される可能性がある。
 石垣市は11日から学校が再開され、飲食、宿泊業者も大人数の入店規制、地元客と観光客の分離、1週間以上の長期滞在者に限った受け入れなどを条件に、営業再開を容認する方針を示している。〝出口〟の提示は、県内の市町村では石垣市が最も早い。
 自粛の長期化で多くの事業所が経済破綻に瀕しており、どこかの時点で経済活動の再開が検討されるのは当然だ。ただ、急ぎ過ぎると感染の再拡大を招きかねないことには十分留意する必要がある。韓国では6日に感染防止策を緩和した矢先、ソウル市内のクラブで集団感染が発生した。
 県にせよ石垣市にせよ、県のロードマップ案に比べると、自粛解除は前のめりだ。だが経済再開を急げば急ぐほど、新たな感染者が出てしまった場合のダメージもまた大きくなる。県民、市民はそれだけ徹底した感染防止の意識が求められるということであり、経済再開に伴って気の緩みが顕著になってしまっては、本末転倒である。
 観光を基幹産業とする沖縄の場合、各事業所が営業を再開するにしても、観光客が来なければ収入は回復しない。国内客の主力である東京、大阪などでは依然、感染拡大が続いており、県が来県自粛要請を解除できる状況とは言えない。短期間で最盛期のようなにぎわいを取り戻すのは厳しいだろう。
 新型コロナウイルスとの戦いは長期戦にならざるを得ず、経済が再開されても「戦時下」は続く。観光業にしても、その中で生き残りを図らなくてはならない。
 国の専門家会議は「三密」の回避を日常生活に盛り込んだ「新しい生活様式」を提言した。〝出口〟の先にあるのもコロナ前の日常ではなく、コロナ後の変容した社会や人生だろう。

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