【視点】新型コロナ、依然続く「再爆発」懸念

 緊急事態宣言が解除され、国内では新型コロナウイルスが終息したかのような安堵感や気の緩みが広がっているが、果たしてそれでいいのだろうか。
 国内の新たな感染者は連日、100人前後発生しており、東京都では28日、緊急事態宣言解除後最多の60人が報告された。感染経路不明は39人。都内では直近7日間の平均が1日当たり約47・7人に達する。
 菅義偉官房長官は29日の記者会見で「症状の有無にかかわらず、濃厚接触者などに積極的な検査を行っている結果も含まれている」と述べ、ただちに再び緊急事態宣言を発する状況ではないとの認識を示した。確かにピーク時に比べ、新規感染者数は抑制されているが、数字自体は高止まりであり、いつ「再爆発」が起きても不思議ではない。
 国外の状況はなお深刻だ。世界の感染者数は1千万人に達し、死者数は50万人を超えた。発生地である中国では抑え込みに成功したようだが、欧米を中心に被害は拡大する一方で、最近1週間で新たに100万人の感染報告があった。
 感染者数は米国251万人、ブラジル131万人、ロシア63万人、インド52万人、英国31万人、ペルー27万人、スペイン24万人、イタリア23万人、イラン22万人、メキシコ21万人、パキスタン20万人ーなどとなっており、北米、中南米、中東、アフリカでも蔓延が続く。パンデミック(世界的大流行)は到底、終息したと言える状況ではない。
 日本で新規感染者数が抑制傾向にあるのは、出入国を制限して海外からの流入を食い止めたことと、国内での感染拡大防止対策を徹底したことが要因だ。
 緊急事態宣言解除後も、専門家が推奨する「新しい生活様式」をではなく「元の生活様式」に戻るだけであるなら「第2波、第3波」の到来は不可避になってしまう。3密回避、ソーシャル・ディスタンス(社会的距離)の確保などを今後とも心がける必要がある。
 沖縄が最も警戒すべきは、県外からウイルスが持ち込まれる「移入例」だ。県をまたいだ往来の自粛要請が解除され、本土直行便も続々と再開されている。
 那覇空港では県が今月19日、TACO(タコ)と呼ばれる旅行者専用相談センターを設置し、発熱者や体調不良者を水際で発見する仕組みを構築した。
 しかし離島の新石垣空港や宮古空港への設置が当面見送られたことで、住民から不満の声が上がっている。
 新石垣空港や宮古空港にも本土直行便が就航しており、水際対策の重要性は那覇空港と何ら変わることはない。玉城デニー知事は26日の記者会見で、離島空港にもTACO分室を設置する考えを示したが、時期は明示していない。
 行政の仕組みから言えば、人口の多い本島が常に優先されるのは当然のことで、これをあえて覆すのは政治の決断ということになりそうだ。
 八重山地区へのPCR検査機器の導入に際しても、一刻も早い導入を求める石垣市と、時期をおいて各地区一斉に導入する方針の県の間で認識の相違があったという。
 八重山住民としては、離島市町村には本島とは異なる事情が存在することを、今後とも県に丁寧に説明し、理解を得る必要がある。

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