【視点】国境の守り 国民的議論が必要

 尖閣諸島周辺の領海で、操業中の日本漁船が中国公船に接近される事態がまた起きた。領海で操業する漁業者の安全が脅かされるばかりでなく、日本の実効支配が問われる重大な局面であり、国境の守りはどうあるべきか、国民的議論の盛り上げが必要だ。
 海上保安庁によると、尖閣周辺には中国公船4隻が航行しており、うち2隻が領海に侵入。操業中の漁船に接近しようとした。巡視船が間に入って接近を阻止し、漁船の安全を確保している。中国公船は何度も接近を試みているというが、接近回数や距離などは警備上の理由があるとして明かしていない。
 過去にも八重山から出漁した漁船が中国公船から威嚇されるケースは何度もあった。5月に海保が初めて公表し、多くの国民が尖閣情勢の深刻さを初めて認識することになった。
 だが現在、尖閣周辺の接続水域で航行する中国公船の連続航行日数は80日を超え、過去最長を更新している。中国公船の大型化、乗組員の熟練化で、悪天候時も航行が可能になったことが大きな要因だろうが、中国側がかなりアグレッシブになっている印象も否めない。
 今回の領海侵入は丸1日以上に及び、過去最長を更新している。中国側も尖閣諸島の奪取に関しては、並々ならぬ決意を持って臨んでいると見るほかない。
 攻める側の中国公船に比べ、守る側の海保のプレッシャーが大きいのは当然だ。
 最前線にすべての負担を押し付けているだけでは、問題の抜本的な解決は見えてこない。政治的、外交的な打開に向け、国民の声として日中両政府に対応を求める必要がある。
 だが、対話による解決は果たして可能だろうか。中国は香港国家安全維持法の制定で国際的な非難を浴びている。あえて日本と事を構える外交的なメリットは何もないはずだが、領土に関しては損得を問わず、一切の妥協をしないという姿勢である。
 外交的な解決を模索しながらも、日本としてはありとあらゆる方法で守りを固め、中国の攻勢に立ち向かうほか選択肢はないだろう。
 日本の国境が日々脅かされ、漁業者の安全さえ懸念される状況になっているのに、現状では尖閣問題に対する国民の関心はあまり感じられない。沖縄の問題は米軍基地だけではないことを、改めて住民自身が発信していくことも求められそうだ。

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