【金波銀波】2001年、台湾の李登輝元総統は病気治療のため来日を…

 2001年、台湾の李登輝元総統は病気治療のため来日を希望していた。ところが外務省は「一つの中国」論に配慮してビザ発給に慎重姿勢だった。そこで人道上の問題であるとして河野洋平外務大臣を説き伏せたのが、当時首相だった森喜朗氏である◆李氏に弔意を示すため、森氏は9日、いち早く台湾を訪れた。いわば安倍晋三首相の名代。李氏逝去を悼む弔問外交の使者として、これほど役回りがはまる元政治家はいないだろう。森氏は度々台湾を訪れていて、李氏と親交を深めていたからだ◆かつて森氏が台北市で開いた在台日本メディア向けの記者会見で「在日中国大使館の人間から、最近よく台湾に行かれていますね」と、くぎを刺されたことを明らかにしており、中国でも親台湾派政治家であることはよく知られている◆森氏は台北市の追悼場で弔意を表した後、蔡英文総統と会談した。総統が台湾で首相経験者と接触することは以前にもあるが、日台の絆を再認識させる出来事である◆今、台湾に追い風が吹いている。新型コロナウイルスを封じ込め、世界に存在感を示した。米国政府は同日、現職閣僚を訪台させた。1979年の米台断交後、当局者として最も上級クラス。日台関係も新たなステップへ向かうことを期待したい。(O)

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