市と議会 対立のツケ市民に 2億円余の予算宙に浮く

予算案の上程を否決した石垣市議会の議会運営委員会=25日午前、市役所

 石垣市が25日、プレミアム付き商品券発行事業の予算案を市議会に再提案しようとしたが、与党の未来会派と野党の反対姿勢は変わらなかった。中山義隆市長は、与野党の反対意見に「丁寧に対応し、指摘された点は解消した」と主張。一方の未来会派と野党は「一切の調整がなかった」「我々の提案に、歩み寄りが全く感じられない」と反論する。新型コロナウイルスの影響を受けた市民を救済するための2億7千万円もの予算案は宙に浮き、対立のツケは市民に回された形だ。

 ▽修正案
 市は市議会に対し、1万5千円分の商品券を1万円で市民に購入してもらうことで、島内での消費喚起が図られると訴えた。地元店舗にお金を回し、新型コロナウイルスの影響を受けた事業者を支援する狙いがある。
 しかし未来会派と野党は「1万円を出せない生活困窮者はどうするのか」と疑問視。市民に1人5千円分の商品券配布を提案するなど、市民の〝生活支援〟を優先すべきだと求めた。
 一方、市は「この事業は経済政策として実施する。市民の生活支援は別の事業になる」(知念永一郎総務部長)と説明。市民への現金や商品券の無償配布には慎重な姿勢を崩さなかった。
 ただ、未来会派や野党の意見には配慮。商品券を5千円ずつ2回購入可能としたり、低所得者や子育て世帯に限って5千円分の商品券の無償配布を選択できるようにした。経済政策に生活支援策の要素を取り入れ、与党からは「弱者の支援も図られる内容になった」と評価する声が出た。
 ▽市長の手柄
 だが、未来会派や野党は、こうした市の修正案を〝譲歩〟とは受け取らなかった。野党の宮良操氏は「こんな微調整の提案は修正の範囲には入らない」、長浜信夫氏は「当局に歩み寄りの姿勢がなかった。前回の臨時議会で否決された重みが理解されていない」と切り捨てた。
 さらに、未来会派はこの日の記者会見で、商品券を1万円で発行する条件として「市や議員も身を切るべき」として、市長、副市長、教育長の給与と議員報酬の50%カットを提案。5千円分の商品券を2千5百円で購入してもらうアイデアなども提示した。
 予算案を否決した議会運営委員会では、与党から「(未来会派や野党は)中山市長に手柄を立てさせたくないのではないか」と野次が飛んだ。未来会派の箕底用一氏は、この野次に関し「われわれの提案のほうが市長の実績になるし、市長の株も上がる」と皮肉った。
 ▽事前調整
 13日の臨時議会では、市が議会に根回しせず予算案を上程したことが問題視された。今回の再提案に当たり、市と市議会で事前調整があったか。双方の認識は食い違う。
 市の担当者は20日に与党との会合を開いたほか、野党連絡協議会会長の宮良氏とも個別に面談し、再提案の内容を「説明した」としている。与党の市議も「未来会派からは後上里厚司氏が会合に出ていた」と指摘した。
 しかし後上里氏は記者会見で、市の説明には納得せず、会派長の調整会議開催を要求したと明かした。宮良氏も「『この案では厳しい』と言った」としており、それぞれ「事前調整があった」とは受け取っていない。
 宮良氏以外の野党も「執行部は一部の議員にだけ事前説明し、温度差をつけて対立をあおろうとしている」(内原英聡氏)、「与党の一部の市長に近い人たちだけで、物事を進めようとした」(大濱明彦氏)と不信感をあらわにした。
 中山市長は記者会見で「新型コロナウイルスの影響を受けた事業者を一日も早く支援することが大切だ」と強調。野党も「市民のために早く国の予算を使いたい気持ちは同じだ」とアピールする。だが双方の〝ボタンの掛け違え〟が行き着いた果てには、臨時議会の流会という結末が待っていた。 

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