【視点】「第3波」には十全の備えで

 県は6日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて発令していた独自の緊急事態宣言を解除した。だが人口10万人当たりの新規感染者数は全国最悪が続き、死亡者の報告も連日途切れない。いわゆる「第2波」のヤマは越えたのかも知れないが、引き続き「第3波」へ十全の備えが必要だ。
 県内では感染者の急増で、医療機関の逼迫(ひっぱく)が大きな問題になった。要因の一つに、看護師が不足し、稼働できる病床が減少したことが挙げられた。
 なぜ看護師が足りなくなったのか。県は8月29日時点で、院内感染や感染者との濃厚接触、さらに新型コロナ以外の体調不良により、95人の看護師が休業していると明らかにした。
 これでは、県が県外や自衛隊から医療人材の派遣を仰がざるを得なくなるのも当然だ。貴重な県内の医療人材をどのように守り、どのように活用していくか。「第2波」の教訓を踏まえた対応が必要になる。
 県は一時、PCR検査機関の負担を軽減するため、緊急措置として検査対象を絞り込んだ。だがここへ来て、濃厚接触者への全員検査を再開すると発表した。
 感染拡大に歯止めが掛からなくなり、検査対象を絞らざるを得ないほど追い込まれた経験は深刻に反省すべきだ。行政検査であっても、本来、無症状者を含めた濃厚接触者は全員検査できる体制は堅持しなくてはならない。県は107の医療機関と契約したが、引き続き検査体制の拡充を進めてほしい。
 「第1波」のあと、県が軽症者や無症状者が療養するホテルの契約を解除してしまったことも、その後の医療機関の逼迫を招いたとして批判された。今後は療養施設の常時確保を続けなくてはならないだろう。
 県内で感染が拡大した発端は、観光客などの「移入例」と見られるだけに、水際対策の強化も大きな問題だ。県は旅行者専用相談センター(TACО)を那覇空港に、分室を宮古、新石垣空港に設置している。だが感染者の多くが無症状者と見られ、サーモラフィのチェックを容易にすり抜けてしまうのが現実だ。
 玉城デニー知事は、来県前に空港で検査を受けてもらう体制整備を国に要望しているが、国は消極姿勢だ。検査数が膨大な数に上ることなどの技術的な問題は残る。しかし現在の水際対策は実効性が薄く、感染者の来県をシャットアウトするには、来県前の検査しか手段がないことも事実だろう。
 いわゆる「第2波」の経験で明確になったことはもう一つある。観光が基幹産業である以上、沖縄は観光客の迎え入れと感染対策を両立するほかないということだ。
 2回目の緊急事態宣言の期間中、玉城知事は来県自粛の要請を出さなかった。政府の「GO TОトラベル」キャンペーンの中止も求めなかった。「第1波」の際のように観光をストップさせることは、沖縄経済の壊滅につながるという判断だ。その意味では県民も腹をくくらなくてはならない。
 八重山の感染者数もあっという間に50人を超え、新型コロナも日常の光景になってしまった。ただクラスター(感染者集団)は現在のところ、美崎町のキャバクラと石垣市のホテルの2カ所にとどまる。
 キャバクラのクラスターから二次感染、三次感染に発展した西表島の事例もあるが、何とかそれ以上の拡大は抑えられている。迅速な濃厚接触者の特定と検査の徹底が奏功しているようだ。感染状況に関する県や石垣市の広報が効果的に機能し、住民の予防意識向上につながっている点も大きい。
 お隣の宮古島では八重山との比較で、県の広報が不十分だと問題になっている。プライバシーに配慮する必要があるのは当然だが、情報公開の推進も感染予防には欠かせない要素である。

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