八重山漁協がサンゴ養殖へ 産官学で支援、崎枝湾

会見した関係者ら=9日午後、沖縄タイムスビル

 八重山漁業協同組合や石垣市、水産土木建設技術センター、日本トランスオーシャン航空(JTA)など県内企業は9日午後、那覇市内で会見し石垣市崎枝湾でサンゴの再生支援活動を開始すると発表した。沖縄で開発され世界に広まったサンゴの有性生殖を活用し、世界初の養殖法で種苗の生産や育成・移植を行う。実施主体は八重山漁協で、県内企業7社が資金提供する。

 実施体制として、水産土木建設技術センターとJTAが幹事会員を務め、協賛企業6社も加え「有性生殖・サンゴ再生支援協議会」を設立。1次支援として計230万円をかけ、サンゴの有性生殖や移植に充てる。八重山漁協の組合員が崎枝湾でサンゴを育て、移植する。
 サンゴの養殖方法は無性生殖と有性生殖がある。無性生殖が一般的で、成熟したサンゴの一部を切り取り、増やして移植する。ただ、天然のサンゴを切り取り、DNAが同じクローン体を移植に使うため、環境変化に適応できない可能性があるという。会見にビデオ会議システムで参加した東京海洋大学の大森信名誉教授は「次の世代のサンゴが再生できない可能性がある」と指摘した。
 一方、有性生殖はサンゴに受精を促し幼生を誕生させ、放流や植え付けを行う方法。遺伝的に多様なサンゴを生産できるため、近年注目されている。
 今事業では、サンゴの卵と精子を取り出し、海中のネット中で受精、幼生を育成。基盤への着底や海底への放流で着生を促進する方法が世界初で採用される。今年度を含む6年間で種苗を1万群体生産し、成長した1000群体の成熟も行う。将来的には、増殖したサンゴを集約的に管理。億単位の幼生が持続的に供給できる体制づくりを目指す。

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