【金波銀波】お祭り好きの日本人が目を背けていることがある。…

 お祭り好きの日本人が目を背けていることがある。「祭日」である。GHQによる改廃で、祭日「新嘗祭(にいなめのまつり)」は祝日「勤労感謝の日」とされた◆新嘗祭とは何か。「古来の日本人は、生産の中核をなす稲作の収穫に感謝して、太陽神(自然神)とも皇祖神(祖先神)とも仰がれる天照大神をはじめ、八百万の神々に新穀を供え、またそのおさがりを天皇が召し上がられ、さらに万民も食物(神々からの贈り物)として頂く」ための伝統的風習である(所功『皇室の伝統と日本文化』)◆「いはふ」には2つ、意味がある。寿(ことほ)ぎ、将来の幸せを祈る「祝ふ」と、心身を清めて神に仕え、吉事を祈る「斎ふ」。むろん日本の弱体化を図ったGHQが言葉の歴史を無下にしないわけがない。戦後は専ら前者に近い「祝」日である◆勤労感謝の日は「勤労をたっとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう」と法に定まる。しかしそこには、「横」はあっても「縦」がない。人知を超えた自然の恵みも、祖先から受け継いだ知恵と工夫も、126代続く祭祀王・天皇も、巧妙に隠されたままである◆「まつり」とは、神仏や祖先という目に見えぬ縦とのつながりを意識する人間の営みである。横目だけでは、実に危うい。      (S)

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