島を日台の結節点に 来年の高速船運航目指す 与那国町

 日本最西端の与那国町は、地理的に近い台湾への高速船就航を目指した社会実験を来年実施する予定で、準備を進めている。島を日本と台湾の「結節点」と位置づけ、中継地点として人的交流の活発化を図る狙いがある。町企画財政課は「高速船運航の実績を重ねることで、将来の定期航路化につなげたい」と期待した。

 町は、台湾との交流推進による地域活性化を目指した「自立ビジョン」を2005年に町議会で議決するなど、台湾との交易や往来を進めてきたが、実際には交流が進まず、成果は上がっていない。
 今回の社会実験では物流ではなく人的交流の強化にポイントを絞る。台湾へのツアーを造成して参加者を募り、高速船をチャーターする。
 過去に台湾との交流特区を申請したが不発に終わった経緯を踏まえ、社会実験を通じ、現行の国内法、国際条約規定の枠内で行うべき申請手続きを整理する。
 海外航路で使用可能な船舶の条件や、町内の2港(祖納港、久部良港)で税関、出入国管理、検疫(CIQ)を実施する条件の確認、海域の気象、海象などのデータを使った最適な就航日の割り出しも進める。
 今年度は国の一括交付金で約4000万円の調査費が認められた。町は8月末、民間のコンサルタント会社に事業を委託。11月30日に町国境交流結節点化推進事業検討委員会(委員長・波多野想琉球大島嶼地域科学研究所副所長)を開き、事業内容を確認した。
 来年秋には高速船の運航を実現させたい考えだが、受け入れ側である台湾との本格的な交渉はこれから。コロナ禍の影響で不透明な部分もあるという。
 町企画財政課の小嶺長典課長は「自衛隊を誘致したことで減少していた人口も落ち着いてきたが、何もしないと尻すぼみになってしまう。台湾との交流で新たな産業を興したい」と意気込んだ。

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