【金波銀波】サウジアラビアの記者…

 サウジアラビアの記者ジャマル・カショギ氏が同国当局者に殺害されたと見られる事件は凄惨だ。記者は拷問を受けた上、切断された遺体は酸で溶かされたとの報道もある。独裁国家がジャーナリストに向ける憎悪を改めて浮き彫りにした◆民主主義と健全なジャーナリズムは切り離せない。世界のジャーナリストは死の危険を冒して独裁国家と戦う。中国や北朝鮮のような国では、そもそもジャーナリストが存在し得ない◆私たちがふだん、空気や水のように享受している日々の報道は、長い積み重ねの末に人類がようやく獲得した権利であり、世界でも、まだまだ貴重だ◆しかし成熟した民主主義国家では、逆にメディアが国民から批判の対象となることもある。2016年の米大統領選では、トランプ氏が自己に不利な報道を「フェイク(偽)ニュース」と指摘した。日本でも「トランプ叩き」報道が流行のようになっている光景を見ると、政権批判を名目にメディアが暴走しているのではないかと思わざるを得ない◆メディアに権力を牽(けん)制する役割が求められているのは当然だが、メディアを牽制できるのは別のメディアしかいない。複数の異なる言論の存在は民主主義を豊かにするだけでなく、不可欠でもある。

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