【視点】前県政の教訓生かせぬ県 辺野古協議

 玉城デニー知事は6日、菅義偉官房長官と会談し、米軍普天間飛行場の辺野古移問題で謝花喜一郎副知事と杉田和博官房副長官による1カ月程度の協議を開始することで合意した。ただ玉城県政に、翁長雄志前知事時代と異なる展望や戦略が存在するようには見えない。知事の訴えが日米両政府に対して説得力を持たない現実を直視し、発想の転換を模索しなければ、翁長県政と同じ失敗を繰り返すだけに終わってしまう。
 玉城知事によると、知事は菅長官との会談で「辺野古の新基地建設には反対する」と改めて主張。その上で「このまま司法の解決に進むのではなく、対話によって何らかの策を講じることができるのではないか。せめて1カ月間、協議の場を設けていただきたい」と求めた。菅長官は「やりましょう」と応じた。
 協議期間中も政府は移設工事を止めず、県は辺野古沿岸埋め立て承認撤回の効力を停止した国交相の決定に対する国地方係争処理委員会への申し立てを進める。政府が工事を中止しないのは、玉城知事に工事を「止めた」という実績づくりをさせず、協議が県の時間稼ぎに使われる可能性を封じるためだろう。
 翁長前知事時代にも似たような光景があった。翁長氏の要請で政府と県は2015年、辺野古移設をめぐる集中協議を行い、政府は1カ月間、工事を中断した。しかし結局、両者は物別れに終わっている。両者が再び集中協議に入るにしても、玉城県政が翁長県政と同じ主張を繰り返すだけあれば、政府が工事を中断しないのは当然で、県は前県政時代の教訓を何も生かしていないことになる。

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