カンムリブダイ水揚げ なじみ薄い「過去の魚種」

 八重山漁協のセリにこのほど、カンムリブダイの大物が2頭出て話題となっている=写真。
 石垣島の四カ字周辺や宮古島、沖縄本島などでは、カンムリブダイは「グジラブッダイ」と呼ばれる。この日揚がったサイズは24㌔と17㌔で、久々の大物。
 八重山の海域はカンムリブダイの産卵場所の北限とされるが、黒潮にのって沖縄本島近海でも捕獲されているという。
 八重山で年季の入った漁師にとって、カンムリブダイには過去に暗い記憶が潜む。かつて八重山の海では、南洋と変わらない大量のグジラブッダイが群れをなして回遊。30㍍以上の深場にいることが多いが、時折浅いところにくると、漁師はこぞってこの巨大な魚を捕獲したという。
 昔の魚の網は今ほど頑丈ではなく、カンムリブダイが多く網に入ると網が切られて、魚に逃げられてしまう。だから、ほどほどに捕獲したというが、1983年ごろから水中で使える照明が普及し、電灯潜り漁が始まり、様相が変わっていった。
 83年から10年はそれでも多数いたというが、今や大群での移動はもう見られなくなったという。当時、一頭30㌔のサイズが大きな群れで移動する様子は、珍しくなかったと古参の漁師は口をそろえる。
 ただ、現在も時々八重山漁協のセリに上場される2㌔ほどのカンムリブダイはあり、ブダイの仲間の中では最高の値が付く。
 八重山諸島の貴重な魚だが、一般には知られず、過去の魚種として忘れ去られているともいえる。

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