【金波銀波】字が小さ過ぎて読めない。

 字が小さ過ぎて読めない。拡大鏡のCMではない。つい1年前までは何の苦もなくできていたのに、今や書類を前に悪戦苦闘する日々◆老眼の進行だけでなく、物忘れもひどくなってきたような気がする。つい最近やったばかりのことが思い出せない。この年齢になると、そろそろ学生時代の友人の訃報を聞くことがあるが、何と名前と顔が一致しない。申し訳ないと思いつつ、心の中で手を合わせる◆気持ちは10代の後半から変わっていない。大人たちに軽く反発しながら、若者たちを仲間のように見ている。だが、その「仲間たち」からは既に「おじ(い)さん」と呼ばれる世代に。自分の中のギャップがどうも解消できない◆さらに進行してくる老い、その先には死。今後いかに長生きしても、今の年齢の倍生きられるとは思わないし、仮に生きたとしても、もう動けなくなっている。人生でやり遂げたこと、できなかったこと、まだやりたいことを数えると、足がすくむような感覚になる◆「人生は一箱のマッチに似ている。重大に扱うのはばかばかしい。重大に扱わなければ危険である」とは作家、芥川龍之介の名言。人間は一定の年齢に達したら、急ぐ必要がある。だが安全運転で。コントロールは「年の功」で何とかなる、と思いたい。

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