【視点】普天間「政争の具」に終止符

 現時点では実現不可能な無条件撤去を追及し、宜野湾市民の負担をいたずらに長引かせることが「民意」なのか。政府が言う「沖縄県民に寄り添う」とは何を意味するのか、県民も自問自答すべき時期だ。
 沖縄は尖閣諸島を抱え、中国の脅威に対する最前線とみなされる。基地反対派は「海兵隊は抑止力にならない」「尖閣諸島で有事があっても米軍が出動することはない」などと主張し、普天間飛行場が抑止力として果たす役割を過小評価する。だが、国防や安全保障を楽観論で語るのは禁物だ。辺野古移設阻止を叫ぶ基地反対派は、万一の事態を懸念する国民や県民に対し、納得できる答えを何一つ提示していない。
 政府との集中協議で、県は辺野古移設の費用が2兆5500億円に達し、政府が資金計画書で示している2400億円の10倍に達するという独自の試算を明らかにした。工期も13年かかるとの見通しを示し、政府に移設計画の断念を迫った。
 試算の妥当性についても異論があるようだが、問題なのは、宜野湾市民の生命や財産の安全は、カネや時間には代えられないことを県が全く意識していない点だ。
 膨大な費用がかかるから、時間がかかるから移設を断念せよという論法は、苦し紛れに編み出されたのかも知れないが、県が普天間飛行場問題の原点を忘れ去ってしまっていることを示している。

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