冬のカンムリワシ幼鳥減少 生態系変化か、事故増加も

21日午前7時半ごろ、石垣島の前勢岳林道で獲物を狙うカンムリワシ

 今冬に石垣島で観察される国の特別天然記念物カンムリワシ幼鳥の数が、例年に比べ減少していることが分かった。カンムリワシを長年観察している中本純市氏によると、例年は20羽以上見られるが、今年は今月21日の時点でまだ4羽しか見られない。その他の目撃情報を加えても6羽だけだという。生態系の変化や増加する交通事故死など、カンムリワシを取り巻く環境は厳しさを増している。
 8月以降に営巣・巣立ちを終える成獣のカンムリワシは、1月から迎えるペアリング時期へ向けて、栄養をつけるべく捕食にやっきとなる。
 この時期には既に巣立った真っ白の幼鳥が、親の縄張りから追われ、新たな自分の居場所を求めて、移動していく時期。寒くなるため獲物は減るが、獲物が比較的多い山岳部は、既存のカンムリワシの縄張りである場合が多い。
 島に外来種のインドクジャクが増え、カンムリワシが狙うネズミ、カエル、ヘビが捕食されることから、カンムリワシが道路に降り立ち、ロードキルのオオヒキガエルを食べて飢えをしのぐ状況もある。
 交通事故の危険性が増すが、今年に入り、カンムリワシの事故死は2010年以来、最悪の8件。心ないドライバーの暴走もカンムリワシの脅威になっている。
 また、オサハシブトガラスが増加し、カンムリワシの巣が荒らされている可能性も考えられる。
 島内では人の手が入っていない原野や奥地の雑木林が開発されたり、転売目的の開発行為で土地が平坦に削られ、これまであった光景を一変させるケースもある。生態系がかく乱されれば、生態系の頂点にあるカンムリワシに異変に現れることも考えられる。
 日本野鳥の会石垣島支部の副会長の佐野清貴氏は「10年前までは冬季に見られる幼鳥の数は増えたり減ったりとジグザグの折れグラフは横ばいで推移したが、10年前からジグザグしながら下降している」として、厳しい状況が進んでいる可能性を指摘した。
 ロードキルのカエルを食べなければ生きていけないカンムリワシが増えているのも、見逃せない実情。島全体の自然環境保護対策もさらに大事となってきそうだ。

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