【視点】全県実施へギリギリの攻防

 辺野古米軍基地建設のための埋め立てを問う2月24日の県民投票は8日までに、市長が不参加を表明するか、態度を保留している市が宜野湾、沖縄、うるま、宮古島、石垣の5市に絞られた。5市の有権者数は、全県の有権者の約3割に相当する。玉城デニー知事は9日に宮古島市を訪れ、下地敏彦市長を直接説得する意向だ。今後、全市町村での県民投票実施に向け、ギリギリの攻防に入ると見られる。
 7日に県民投票不参加を表明した沖縄市の桑江朝千夫市長は、辺野古埋め立てに対し、賛成か反対かの二者択一を迫る県民投票の設問について「あまりにも乱暴だ。基地に関わってきた人たちの思いを無視した県民投票だ」と指摘。1997年、普天間飛行場の移設に伴う海上ヘリポート建設の是非を問う住民投票が名護市で実施されたことに言及し「(名護市が)住民投票で暗くなった雰囲気がずっと頭の中にあった。こんな思いや分断を、沖縄市民に経験させたくない」と語った。その言葉には重みがある。
 沖縄の米軍基地問題は単純ではない。米軍が沖縄に駐留することによる事件・事故や危険性などを考えれば、米軍基地に拒否反応を示す県民が多いのは事実だ。
 しかし私たちには、沖縄、さらには日本を他国の脅威からどう守るかというシリアスな問題も突き付けられている。基地所在市町村の地域振興が事実上、基地の受け入れとリンクしている側面も見逃せない。さまざまなファクターが複雑に絡み合う中、基地問題を白黒で割り切ることが果たして妥当か。桑江市長が言葉を振り絞った「二者択一の乱暴さ」の意味を、私たちは改めて考える必要がある。

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