【視点】なぜ「賛成」と言えないのか

 「辺野古米軍基地建設のための埋め立て」の賛否を問う県民投票があす14日告示される。政府は県民投票の結果にかかわりなく、米軍普天間飛行場の辺野古移設工事を進める考えを示しており、県民投票に工事を止める直接的な効力はない。
 ただ埋め立て承認撤回を巡り、今後予想される県と国の法廷闘争で、県や反対派は、反対多数の結果を得て、有利な材料に使いたい思惑がある。県民投票の結果が辺野古移設の行方に全く影響がないとも言えまい。
 県民投票に公職選挙法は適用されないため、告示を前に、県内各地では集会や街頭活動、ビラ配布などで「反対」を呼び掛ける投票活動が活発化している。一方で辺野古移設容認の自民党は表立った運動を控え、静観の構えを示す。「反対」運動だけが一方的に盛り上がるという異様な状況になっている。
 もともと自民党の辺野古移設「容認」は「賛成」とはニュアンスが違う。「苦渋の選択」であることが前提になっているからだ。県民投票改正を巡る与野党協議では一時、「普天間飛行場移設のための辺野古埋め立てはやむを得ない」などという選択肢に変更することを要求した。一般県民の間で「賛成」を「容認」に変えてはどうかという声もあった。基地反対派の宣伝活動が活発で、辺野古移設に対するイメージが著しく悪い沖縄では「賛成」という選択肢に投票するよう呼び掛ける運動はしにくいのが現実だ。
 「『辺野古』住民投票の会」の元山仁士郎代表は「賛成の人は賛成の団体をつくって運動すればいい」と話したが、告示直前になっても、そのような動きは見られない。
 7日に開かれた県主催の県民投票フォーラムでは、ほかならぬ基地反対派の有識者から、沖縄のそうした雰囲気を懸念する声が上がった。沖縄国際大・大学院教授の前泊博盛氏は「沖縄の基地問題の最大の欠点は、賛成派が賛成の意見を言えない環境にある」と指摘。「辺野古の警備の警察官はマスクで顔を隠している。なぜ顔を隠さないと警備もできないのか。名前を出して賛成と言えない理由は何か」と問題提起した。
 辺野古移設問題を争点とする選挙があるたび「議論が盛り上がらない」と言われる。県内では普天間飛行場の危険除去などの辺野古移設のメリットがほとんど周知されず「新基地建設」であるという誤解が根強く残っているためだ。今回の県民投票でも、そうした問題点を解消できていない。
 県民投票を周知する県の公式サイトに対しても、辺野古移設の原点が普天間飛行場の危険除去であることや、県、宜野湾市民が同飛行場の返還を求めてきた歴史的経緯が掲載されていないという指摘が出ている。
 県民投票は24日に全市町村で実施されることが決まった。県民や本土住民が辺野古移設問題を真剣に考え直す機会にしてほしい。

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