【視点】県民投票、沖縄に傷残した

 投票権は大切な権利だが、投票することがかえって沖縄の未来に影を落とす結果を招くかも知れない―。少なからぬ有権者にそんな懸念を抱かせ、無念の思いで棄権という選択をさせた、問題の多い県民投票だった。投開票が終わった今も、その懸念は重くのしかかったままだ。
 「辺野古米軍基地建設のための埋め立ての賛否を問う県民投票」。この設問から、米軍普天間飛行場の危険と隣り合わせの宜野湾市民に思いを馳せる人はどれだけいるだろう。
 県民はもとより、本土住民にも十分な情報が行き渡ったとは言い難い。名護市辺野古への移設は宜野湾市民の負担軽減を目的に政府が進めている事業であること。既存の米軍基地であるキャンプ・シュワブへの縮小統合であり「新基地建設」と呼ぶのは反対派だけであること。
 埋め立ての許認可権を持つ県知事は2013年に、埋め立てを承認しており、政府が軍事施設とは無縁の場所で、美しい海を無法に埋め立てているわけではないこと。
 日米合意に基づく辺野古移設は、日本の外交と安全保障が問われている問題であり「沖縄のことは沖縄が決める」という威勢のいい言葉だけでは完結できないこと。こうした現実を一つひとつ吟味しながら、沖縄は未来を切り開くほかない。しかし県民投票を前に聞こえてきたのは、辺野古移設を断念することで沖縄に明るい未来が開けるという反対派の根拠なきキャンペーンだけだった。
 県民投票の「成功」がかえって普天間の固定化につながれば、県民に絶望感や不信感を増幅させるだけの結果になりかねない。そんな思いで棄権という苦渋の決断をした県民もいた。その胸中を思えば、5市が不参加表明した際に沸き起こった「市民の投票権を奪うな」という糾弾の声が、いかに底の浅いものであったか、今さらながらに実感せざるを得ない。
 辺野古移設を容認しながら、早々に不戦敗を見込み、静観を決め込んだ自民党にも責任はある。支持者の間からは「理論武装ができていない」と苦言を呈する声も上がった。

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