重文に蔵元絵師画稿類 文化審議会、文科相に答申 石垣市初の美術工芸品指定

重要文化財に指定された「八重山蔵元絵師画稿類」の弥勒の行列(石垣市立八重山博物館所蔵)

 国の文化審議会は18日、美術工芸品分野で石垣市所有の八重山蔵元絵師画稿類(宮良安宣旧蔵)90点、古文書の部で琉球国時代石碑25基、歴史資料の部で伊江御殿家関係資料146点を重要文化財に指定するよう柴山昌彦文部科学相に答申した。石垣市では重要文化財指定は4件目。美術工芸品が指定されるのは初めて。
 八重山蔵元絵師画稿類は19世紀の琉球国八重山蔵元の絵師が描いた画稿類の一括資料。蔵元は琉球国の離島統治機関で、蔵元絵師は風俗画や漂着船等の記録画作成などに従事した。
 最後の絵師である宮良安宣(1862~1931年)が旧蔵していたもので、画題は豊年祭、祝日の行列図や旗頭等の祭礼・風俗を描いたものが多く、ほかに機旗・紡績・布晒(ぬのざらし)や稲刈などの貢納に関する生業図、漂流民や船等の記録画、および花鳥図などがある
 19世紀後半の第二尚氏時代から明治時代における八重山の文化や自然を蔵元絵師が幅広く描いた稀有な資料群で、同地域の文化史、琉球絵画史等を研究する上、史料価値が高い。
 これまでこの画稿類は紙の枚数から114点としてきたが、2018年に新たに寄贈された2枚を合わせた116枚が国指定として答申された。今回、文化庁では内容等により連作と判断して資料数を90点としている。
 名誉市民である故鎌倉芳太郎氏から寄贈されたもので、1923年に美術調査のため石垣を訪れた際、宮良から譲り受けた。75年に八重山博物館でこの資料の展示会を開催したことを機に、市に寄贈された。
 市教委の石垣安志教育長は「市にある美術工芸品が国の重要文化財に指定されるのは初めてで大変喜ばしい。この資料の重要文化財としての価値を改めて認識し、今後さらに保存と活用に努めていきたい」とコメントしている。

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