【視点】知事選、4年前とは一変

 今秋の知事選に向け、自民党県連や経済界関係者などが3月末、候補者選考委員会の初会合を開き、5月までに候補者を決定する方針を決めた。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に反対する「オール沖縄」勢力からは翁長雄志知事が再選を狙うと見られており、知事選は保守勢力と「オール沖縄」勢力が激突する構図になる可能性が高い。いよいよ知事選に向けた動きが始動する。
 ただ、保守勢力の候補者選びがすんなりと進むかどうかは見通せない。これまでも現職国会議員や著名経済人などの名前が浮かんでは消え、現時点で衆目の一致する人物が見当たらない。翁長知事の県民的人気が依然高いとされる中、「勝てる候補」擁立は最初から難航が予想されていた。現実にも「出たい人」「出したい人」が入り乱れている状況のようだ。
 しかし、翁長知事が誕生した2014年と現在では、選挙情勢が一変した。
 翁長知事初当選からしばらくは、国政、県政の主要選挙で「オール沖縄」勢力が連戦連勝。まさに沖縄を席巻する勢いだった。
 しかし、翁長知事最大の公約である辺野古移設の阻止は、なかなか前に進まなかった。安倍政権は県民の基地負担軽減に向け、移設を着実に進める方針を堅持。辺野古沿岸埋め立て承認の取り消しは最高裁で違法とされ、翁長知事は裁判闘争でも敗れた。移設工事は着実に進んでおり、翁長知事は公約を達成できないまま任期満了を迎えようとしている。
 こうした中、「オール沖縄」勢力は退潮傾向が顕著になった。昨年の衆院選では、4区で自民党候補が「オール沖縄」候補を初めて撃破。他の3区では「オール沖縄」候補に軍配が上がったものの、鉄壁に風穴が開いた。今年2月の名護市長選では、移設の是非を争点とした選挙としては翁長知事の誕生以来初めて、辺野古反対派が敗れた。
 辺野古反対派の政治家や経済人などで組織する「オール沖縄会議」からは、金秀グループの呉屋守将会長が共同代表辞任を発表したほか「かりゆしグループ」も脱退を決めた。「オール沖縄」勢力の組織力低下が鮮明になっている。
 辺野古反対を旗印に、保守、革新の共同体を標ぼうした「オール沖縄」勢力は、名実ともに終焉(しゅうえん)に向かっていると見るべきだろう。辺野古阻止に向けた実効性ある道筋や、国民が納得できる具体的な安全保障政策の対案を持たなかったことが要因だ。
 翁長知事は今後、辺野古阻止に向けた切り札として、辺野古沿岸埋め立て承認の「撤回」に踏み切ると見られるが、国が裁判闘争に訴えれば、暫定的に工事が止まるだけに終わるとの見方もある。「オール沖縄」勢力そのものが存続できるかの正念場だろう。
 前回知事選と違い、保守勢力は自民党だけでなく、公明、維新も巻き込んだ選挙協力体制を構築しつつある。既に3者の連携で名護市長選、石垣市長選を勝ち抜いた。県内の政界再編を見据えていると見られる維新のこうした動きは、知事選で台風の目になるかも知れない。
 翁長知事は精密検査のため検査入院した。退院時は自ら健康状態について説明する意向のようだ。検査結果によっては健康不安説が浮上しかねず、知事選にも影響が出る可能性がある。

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