【視点】日米共同使用と負担軽減

 沖縄の基地負担軽減に向けた具体的な一歩となるかも知れない。在沖米軍の海兵隊撤退後、防衛省が来年3月に創設する水陸機動団(日本版海兵隊)を沖縄に配備する可能性について、在沖縄米軍トップを兼ねるニコルソン在日米海兵隊司令官(中将)が16日、「理解できる」との認識を示した。
 小野寺五典防衛相は17日、「まだ何も決まっていない」と述べたが、ニコルソン氏は私案としながら、キャンプ・ハンセンかシュワブへの配備を示唆しており、現実性は高いと言える。
 米軍撤退後の沖縄に自衛隊を配備することは、沖縄を守る実力を維持しながら県民の負担軽減を進める一つの現実的方策だ。日米両政府は、将来的な実現に向けて積極的に検討を進めるべきだ。
 基地負担には2種類ある。一つは基地そのものから派生する騒音や危険性などの問題、もう一つは米兵が絡む事件・事故だ。前者の負担を軽減するためには日米両政府の関与が不可欠である。米軍普天間飛行場の辺野古移設をはじめ、両政府の合意に基づいた作業が進んでいる。基地周辺住民の救済策も必要だ。
 後者の問題は、事件・事故を起こした米兵が不当に保護される可能性があるという日米地位協定の欠陥が引き起こしている。配備されるのが米軍ではなく自衛隊であれば、米兵の「逃げ得」はなくなる。この意義は極めて大きい。
 今月、与那国島に配備された陸上自衛隊沿岸監視隊の隊員が、大阪府の温泉で女児を盗撮したとして大阪府警に書類送検された。今後は自衛隊の内部でも厳しい処分が下るはずだ。
 これが米兵であれば、犯行の態様によっては日米地位協定で日本側の捜査が阻まれていた可能性があった。
 現在、元米軍属による女性殺害事件の裁判員裁判が那覇地裁で進んでいる。この事件では、日米地位協定による大きな影響はなかった。しかし県民からは「米軍基地あるがゆえの犯罪」と激しい憤りの声が上がっている。米軍絡みの事件・事故は、日本人の国民感情として到底容認できない。
 自衛隊員の事件も言語道断だが、米兵と違い、自衛隊員の事件・事故はいかなる場合も国内法によって厳正に処断されることを改めて示した。自衛隊員の綱紀粛正や、さらなる事件・事故の抑止力につながることは間違いない。日本人にとって「ブラックボックス」化している米軍との大きな違いだ。
 県民の間でも自衛隊の役割に対する理解は進んでいる。与那国島では、配備に伴って行われた住民投票で、配備賛成が多数を占めた。石垣島への配備計画をめぐっては反対運動も起きているが、推進派も「島を守るために自衛隊は必要」と誘致を訴えており、衆院選での得票は推進派が反対派を上回った。これが自衛隊ではなく米軍であれば、いかに安全保障のためとはいえ、地元の理解を得るのは不可能である。
 米軍に代わって自衛隊を配備するのは基地負担軽減にならないという批判の声もある。だが、そうした意見は自衛隊と米軍の本質的な違いに関する理解が足りない。
 ニコルソン氏は米軍基地の日米共同使用にも期待感を示した。これも自衛隊の役割強化に向けた前向きな動きだ。

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