【視点】米軍ヘリ墜落15年、危険性早期除去を

 衆院補選では、辺野古容認を明確にした島尻安伊子元沖縄担当相が、辺野古の新滑走路を将来的に軍民共用とする案を提示した。
 過密化する那覇空港も第二滑走路の整備が進んでいるが、観光客が年々増加する中で状況の抜本的な解決には至らないとされており、北部地区での新空港整備を求める声も出始めている。辺野古の軍民共用化は、新滑走路を軍事基地としてだけではなく、地域振興のインフラとして活用する方策だ。このあたりが「落としどころ」ではないか。さしあたり自衛隊との共用化を目指すことが、将来的な軍民共用の第一歩になるだろう。
 玉城知事は記者会見で、辺野古移設に反対する理由として、県の独自試算で工事費が2兆5千億円超に達することや、移設先で軟弱地盤の存在が確認されたことを挙げた。ただ、当初はそもそも県内移設だから反対という姿勢を示していたはずで、論点がずれてきた印象は否めない。辺野古移設反対運動だけがクローズアップされる中、原点である普天間の危険除去が置き去りにされているとの批判もある。
 米軍ヘリ墜落事故に話を戻すと、玉城知事は記者会見で当時を振り返り「NHKのニュースでヘリ墜落は4番目か5番目くらいだったと思う。そのニュースを最優先するべきではないか。翌日の報道でも、なかなか流れてこなかった」と報道のあり方に苦言を呈した。
 辺野古を巡る県と国の対立が深刻化する中、当時に比べると沖縄の米軍基地問題に対する報道の意識も大きく変わっている。現在ならヘリ墜落のような事故は、全国でもトップニュースになるだろう。その意味では、昨年死去した翁長雄志前知事は、基地問題を全国区にした功労者だと言えるが、県民の分断を深刻化させた責任も小さくない。

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