【視点】米中「貿易戦争」激化と日本

 米中の「貿易戦争」が激化している。トランプ米大統領は23日、ツイッターで中国からの輸入品に対する関税の上乗せを発表し「中国は年間数千億ドルの知的財産を盗み続けてきた。私はそんなことは許さない。われわれは率直に言って中国を必要としない」と主張した。米企業に対し「中国の代替地を速やかに探し始めるよう求める」と述べ、中国からの撤退と米国への回帰も要請した。
 中国も対抗措置として米国産の原油などに追加関税を課すと発表した。中国メディアは「われわれは貿易戦争を恐れない」という当局のコメントを紹介する一方、国民の生活や医療などに密着した品目には追加関税をかけないなど「理性的、自制的に対応している」と強調した。
 米中のつばぜり合いには「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」を掲げるトランプ大統領の政策に加え、世界の将来的な覇権をにらんだ攻防が背景にあるとされる。目先の損得勘定に目がくらんだトランプ大統領の暴走ではない。
 1990年代には日本にはるかに及ばなかった中国のGDP(国内総生産)だが、その当時から、巨大な人口と驚異的な経済成長率を理由に「日本を追い抜くのは時間の問題」と見る論者が多かった。実際に2010年、中国のGDPは日本を逆転し、現在では3倍近い規模に拡大した。
 中国が将来的には米国も抜き、世界一の経済大国に成長すると見る識者は多く、このままでいけば予言が再び実現する可能性は高いと言えよう。中国の経済成長で特徴的なのは軍事力も尋常ではないスピードで増強していることで、世界規模で米国を脅かす「超大国」の地位も視野に入る。
 中国自身も、習近平国家主席が「中華民族の偉大なる復興」を国のスローガンに掲げているように、その野心を隠さない。尖閣諸島を巡る日本との摩擦も太平洋への勢力拡張を図る長期計画の一環であり、単なる無人島の争奪戦でないことに留意する必要がある。

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