沈砂池で水生昆虫採集 赤土除去で水辺維持と改良土 九大・荒谷教授ら研究チーム

荒谷教授から水生昆虫の解説を受ける子どもら=29日午後、石垣市米篩東地区の沈砂池前

 沈砂池に生息する水生昆虫類の保全などを学ばせようと、「危機的状況にある奄美・琉球の里地棲希少水生昆虫類に関する実効的な保全・生息地再生技術の開発」研究チーム(代表・荒谷邦雄九州大学大学院教授)は29日午後、石垣市米篩東地区の沈砂池で、市内の子どもらを対象とした昆虫採集イベントを開催した。
 配布された資料によると、県のレッドデータブックに掲載されている昆虫類の絶滅危惧種42種のうち33種(約83%)が水生昆虫類で、ここ数年で確認できなくなった貴重な水生昆虫類は増えているという。
 同チームは赤土流出防止と海域保全だけでなく、水生昆虫類のすみかとなっている沈砂池の役割に着目。「自然と共生する農業の実現に向けての沈砂池の活用」を目指し、沈砂池に堆積した赤土を有効活用し、同時に沈砂池の生物群の生息場所「ビオトープ」としての活用を研究している。
 ここ5、6年の研究で▽除去した赤土を使った農地や緑地用の改良土は作物の良好な生育に役立つ▽赤土除去は沈砂池内の水辺の維持・回復に役立つ▽赤土除去工事は土木作業を仕事の一部にしている農家の収入源になり得る―ことが判明した。
 この日は10人ほどの生徒・児童らが水生昆虫採集に参加。トビイロゲンゴロウやヒメタマガムシ、イシガキヌマエビなど約30種類の昆虫を採集し、荒谷教授と東海大学教養学部の北野忠教授から解説を受けた。
 荒谷教授は「実は、西表より石垣のほうが自然環境も種類も多様」、北野教授は「ヒメタマガムシは今年、日本で見つかったばかり。石垣では名前もない新種がこれから見つかるかも」と話した。
 研究メンバーの、日本工営㈱沖縄支店技術部の冨坂峰人部長代理は「里地や農地は規制地域にならないので、その地域に住む水生昆虫類をどう守るかが大切。赤土対策と水生昆虫保全を集約して学べる場がここだ」と強調した。

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