【視点】通信障害11時間 危機管理に教訓

 多くの住民にとって、スマホは今や片時も離せない日常生活のツールだが、こうなってしまうと何の役にも立たない。もし災害が起きても、警察や消防に救助を求めることができない。タクシーも呼べず、病院の予約もできず、近親者の安否確認もできない。それこそ伝書鳩やのろしの時代に逆戻りしたような感覚だ。
 今回の事態で、通信障害が航空便の発着にも影響することが明らかになった。石垣島と沖縄本島や離島を結ぶ交通手段は航空機しかない。多くの市民や観光客が足止めされ、混乱はさらに広がることになる。
 今回はNTT西日本の努力で、官公庁や事業所が業務開始時間を迎える10月1日午前8時55分ごろには何とか復旧した。台風の中の作業であることを考えれば迅速な対応だと言えるが、仮に、この事態が20時間、30時間と続いていればどうだったか。未曽有の混乱が島々を覆ったことだろう。
 八重山で起きたことは、台風被害に遭った千葉県の例を挙げるまでもなく、全国規模でも起こり得る。しかも天災だけが原因とは限らない。通信インフラを狙ったサイバー攻撃や物理的なテロの可能性も考えられる。
 島全体、地域全体、さらには国全体が一瞬にして無防備な状況に陥る。その隙を突いて悪意のある何者かが動き出す。そんな最悪の事態も想定しなくてはならないだろう。その意味で今回の事態は、市民にも行政にも、貴重な教訓になったはずだ。
 危機管理マニュアルの作成に当たって想定すべき、新たなケースが加わった。

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