【視点】「いじめ」蔓延する現代社会と道徳

 文部科学省と県教委が17日に公表した2018年度の児童生徒の問題行動・不登校調査によると、県内小、中、高校、特別支援校のいじめ認知件数は1万2799件で前年度比219件増、暴力行為は2069件で同27件増となった。
 人口千人当たりの暴力行為発生件数は全国の5・5件に対し、沖縄は10・0件、いじめ認知件数は全国40・9件に対し、沖縄は60・9件に及ぶ深刻さである。沖縄は全国の中でも人情に厚い土地柄と言われているが、学校現場のレベルでは、モラルが崩壊し始めているのではないか。
 暴力行為やいじめの認知件数が増加したことについて、県教委の平敷昭人教育長は「軽くぶつかる、叩かれるなどの本人が不快に感じる暴力や、冷やかし、からかいなどの初期のいじめも見逃さず積極的に認知し、早期発見・早期対応に努めた結果」とコメントした。
 いじめは毎年、学校現場の大きな課題としてクローズアップされているが、今年は神戸市で、いじめの抑止に当たるべき教員自身による同僚へのいじめが発覚した。政治の世界でも国会議員による秘書への暴力などが報じられているが、最近ではNHKから国民を守る党党首の立花孝志前参院議員が動画で「差別やいじめは神様が作った摂理」と発言した。
 教員間のいじめ問題に関しては、芸能人がテレビ番組で被害者に「あいつも男なんだろ。さっさとやり返せばいいじゃねえか」と促してネット上で物議をかもした。やり返せるような状況であれば、そもそもいじめなどは起こっていなかったはずだ。こうした論理も、結局はいじめ肯定論の一種になってしまう。
 職場でのセクハラやパワハラなども広い意味でのいじめであり、現代社会では子どもから大人に至るまで、至る所でいじめが蔓(まん)延し、しかも黙認されていると言っていい。
 かつての常識的な感覚から言えば、弱い者いじめとは単純に「卑怯」であるはずだが、現在、「卑怯」という言葉は時代劇で武士のセリフとして聞く程度である。学校の授業で子どもが耳にする機会などないだろう。

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