【視点】離島医療の脆弱さ浮き彫り

 しかし離島医療を志す医師は少なく、医師の数は常に都市に偏重している。離島は都市に比べ採算性が低いこと、田舎より都会の華やかな生活に憧れる心理、何よりも、医師が一人しかいない状況の中、過酷な勤務を強いられることが背景にあると思われる。しかし本来、公立、民間を問わず、離島に複数の医師や診療所が配置される体制が理想だ。
 医師の疲弊は、離島だけでなく都市部の公立病院でも課題になっている。住民が5万人規模の石垣島ですら、医師が安定的に確保されているとは言い難い状況だ。住民に身近な一次医療は民間病院で、より高度な二次医療は八重山病院で、という病院間の役割分担が提唱されているが「コンビニ受診」は後を絶たず、住民の意識改革も求められている。
 現在のように、離島医療が行政機関に支えられている状況では医師の数に限りがあり、離島に複数の医師を配置するのはなかなか難しい。民間も含め、離島医療に情熱を持つ医師を養成するシステムの構築が不可欠だ。
 琉球大学医学部では離島枠を設け、将来の離島医療を担う人材の育成に努めている。同様のシステムを全国的に拡充強化するための検討が必要だ。
 全国から医師を誘致するためには地元の熱意もカギを握る。八重山病院の新築などを求めて住民運動を起こした「八重山の医療を守る郡民の会」が先ごろ活動を休止したが、住民の命を守る上で、同会の貢献は大きかった。「自分の命は自分で守る」という意識を住民自身が常に持ち、離島医療の今後に関心を持つことが大事だ。

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