【視点】なぜ防げぬ 貴重動物の事故死

 2日に石垣島でカンムリワシ、3日に西表島でイリオモテヤマネコが相次いで交通事故死した。いずれも国の特別天然記念物だ。豊かな生態系は八重山のかけがえのない財産なのに、貴重な動物の事故死は後を絶たない。
 石垣島、西表島は国立公園に指定され、西表島は世界自然遺産登録を目指している。ヤマネコは竹富町、カンムリワシは石垣市のシンボルとして住民に愛されている動物でもある。官民一体となった保全運動が求められている中で、情けない現状と言わざるを得ない。
 ヤマネコの事故死は今年3件目で、前回の死亡事故は4日前の10月30日に発生したばかりだった。
 ここ数年のヤマネコの交通事故を見ると、2016年7件、17年3件、18年9件。今年は例年に比べると少ないようだが、発生した3件すべてが死亡事故となっている。
 記録が残っている1978年以降では91件の交通事故が起き、うち死亡件数は84件に達している。
 石垣島で事故死したカンムリワシは15年に名蔵で衰弱しているところをいったん保護され、体調回復後に放鳥された。16年から17年にかけて屋良部半島で姿が目撃されていたが、今回、輪禍の犠牲になってしまった。
 今年に入り、石垣島でのカンムリワシの交通事故は7件目、うち死亡は5件目。ここ数年の死亡事故数は16年5件、17年7件、18年8件と、こちらも常態化している。
 環境省などの関係機関は目撃多発地点のマップを作成したり、チラシ配布や看板設置で注意喚起を図っている。だが本来、事故はゼロでなくてはならない。石垣島でも西表島でも、毎年のように事故が発生している現状は異常である。

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