「オール沖縄」「辺野古」封印 県民人気テコに浸透図る 玉城陣営 知事選情勢①
総決起大会でガンバロー三唱する玉城氏(壇上左から5番目)と支持者=22日午後、宜野湾市の沖縄コンベンションセンター
▽関心は「暮らし」
「誰一人取り残さない。ウチナーンチュが未来に伝えていきたいのは、このチムグクルだ」
22日に宜野湾市で開かれた総決起大会で、満席の聴衆を前に訴えた玉城デニー氏。スピーチでは、過去2回の知事選で幾度となく連呼された「オール沖縄」「辺野古」というワードは一度も出なかった。
今回の知事選では玉城氏の「政策の柱」7項目に、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設反対は盛り込まれていない。
チラシはほとんどが8年間の実績と経済、福祉問題などで埋まり、辺野古移設問題に関しては最も小さな文字で「辺野古新基地断念を求める」と記されただけ。
陣営は「辺野古移設問題は明確な争点の一つだ」(玉城氏)とするが、辺野古を巡る法廷闘争では県が最高裁で敗訴。移設工事も進ちょくし、県民の関心は「辺野古」から暮らしの向上へと移った。陣営は選挙情勢の変化を敏感に察している。
「辺野古」を看板政策から外した玉城氏は、無党派層の支持拡大に腐心。政党色を極力消して支持のウイングを広げようと、これまで玉城氏を支えた共産党、社民党、立憲民主党などの推薦はあえて受けなかった。革新色が強い「オール沖縄」の呼称も封印した。
玉城氏は演説などで流暢にウチナーグチを駆使し、特に中高年層に絶大な共感を広げる。高い県民人気をテコに、有権者への浸透を進める戦略だ。
▽攻守所を変え
「辺野古も認めない。『対話』だけを繰り返す。そういうことから普天間飛行場は動かないのではないか」
23日の討論会で自ら辺野古移設問題を持ち出し、玉城氏を批判したのは保守系の対抗馬、古謝玄太氏だった。「第三極」を掲げる下地幹郎氏も17日の公開討論会で「対話と言っても、裁判が終わった後、国はあなたと対話しない」と玉城氏を突き放した。
移設を容認する保守系候補が「辺野古」の議論を極力避けていた過去の知事選とは攻守所を変え、今選挙は移設反対を主張する玉城氏が追及を受ける皮肉な展開だ。
辺野古沖で発生した抗議船転覆事故も陣営に暗い影を落とす。過激な抗議活動への反発が強まり、基地反対派の後ろ盾になってきた玉城県政の責任を問う声が内外から上がっている。
玉城氏は「(抗議船運航団体の)安全管理体制に不備があった」として修学旅行の安全対策強化を表明。一方で抗議活動への直接的な批判は避け続けており、支持層内のハレーションを極力抑えたい考えをにじませる。
▽公選法
「この選挙は3万人の勝負。本当に厳しい状況が続いている。できるだけ告示日までに電話をかけて『準備をしてね』と」
玉城氏は総決起大会で、支持者にこう呼び掛けたが、直後からSNS上では「公選法が禁じる事前運動ではないか」との声が相次いだ。
24日、報道陣に真意を問われた玉城氏は「厳しい状況であることは選対でも一致している認識。必死に頑張ろうという気持ちで思い余ってしまったかもしれない。気を付ける」と肩を丸めた。2014年の知事選以降、初めて迎える「オール沖縄」なき選挙戦。陣営に楽観ムードはない。
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27日に告示を迎える沖縄県知事選。いよいよ選挙戦に突入する主要3陣営の戦略に迫る。 (続く)(仲新城誠)