【視点】安保、離島振興も議論を
▽経済が主要テーマ
沖縄県知事選が告示され、新人で那覇市副市長の古謝玄太氏、現職で3選を目指す玉城デニー氏ら、過去最多の6人が立候補した。古謝氏と玉城氏による事実上の一騎打ちとなる構図だ。
過去2回の知事選で最大争点だった普天間飛行場の名護市辺野古移設問題は扱いが小さくなり、物価高を受けた県民の暮らし向上、沖縄振興など、経済問題が主要テーマになりそうな雰囲気だ。
だが沖縄にとっては安全保障問題も見過ごしてはならぬテーマである。
辺野古移設問題だけがワンイシューのようになっていた過去の知事選も変だったが、辺野古を含む安全保障の論議がほとんど盛り上がらないのも不自然だ。2候補の演説を聞いていると、安全保障問題をあえて避けているのではないかとの印象を受ける。
台湾有事の懸念を挙げるまでもなく、沖縄周辺で中国が軍事力を増大させ、覇権的な動きを強めている現状は、沖縄の将来に暗い影を落としている。
石垣市の行政区域である尖閣諸島周辺海域では中国海警局の艦船が常駐し、領海侵入を常態化させている。中国空母は沖縄周辺を徘徊し、公然と戦闘機の発着訓練を繰り返している。
県民の安全を考える上で、中国の脅威にどう対処するかは避けて取れない問題だ。
2候補とも抑止力としての日米安全保障条約は認める立場だが「南西シフト」と呼ばれる自衛隊の増強に対し、古謝氏は基本的に容認、玉城氏は慎重な対応を求めるなど、スタンスに差がある。
自衛隊や海上保安庁の利用を円滑化する「特定利用空港・港湾」に関しても、石垣空港や宮古空港の指定に対し両者の対応に同様の違いがある。2候補の姿勢は日本政府の安全保障政策にも絡んでくるだけに、有権者も注視が必要である。
▽離島振興の議論は低調
もう一つ気になるのは、離島振興の議論が低調なことだ。
2陣営は今知事選の新たな目玉として交通政策を打ち出しており、討論会などでは沖縄本島での鉄軌道導入議論などが白熱している。だが離島振興が俎上に載る場面はほとんどない。
全県選挙となると、大票田となる沖縄本島が重視される事情はある。だが離島住民にとっては、島々の課題に対する各候補の考えが分かりにくいのも事実だ。
17日間の選挙は沖縄本島が主戦場となり、離島では候補者不在の選挙戦となるから、置き去り感はなお強い。そこは地元の選対に頑張ってもらい、有権者に離島政策の浸透を図ってほしい。
▽最大争点は「県政継続」
知事選で最大の争点は、2014年の翁長雄志前県政誕生以来続く「オール沖縄」県政継続の是非である。
辺野古移設問題が後景に退くと共に「オール沖縄」という名称自体、すっかり影が薄くなってしまったが、12年間の翁長、玉城県政はひと続きの県政として県民の評価を受けるべきだ。
実績を強調する玉城氏、県政刷新を求める古謝氏、いずれに訴えの理があるか、県民の選択が問われる大一番である。