古謝氏 組織で地滑り勝利 玉城氏 転覆事故が致命傷
敗北が決まった後、支持者を鼓舞しようとカチャーシーを舞う玉城氏=13日夜、那覇市の教育福祉会館
沖縄県知事選は、国政与野党6党の推薦を得た古謝玄太氏の陣営が「オール保守勢力プラス公明」の分厚い組織力を発揮し、玉城デニー氏に地滑り的な勝利を果たした。玉城氏は無党派層への浸透を図ったが、米軍普天間飛行場の移設先、名護市辺野古沖で反基地団体が3月に起こした抗議船転覆事故が致命傷になり、最後までマイナスイメージを払拭できなかった。
今選挙は公明党の政権離脱や「オール沖縄」勢力の弱体化で、従来の「オール沖縄対自公」の構図から様変わりした。
保守層から擁立された古謝氏は、従来の保守系候補に色濃かった自民党色を薄め「県民党」を掲げて広く保守・中道勢力に結集を要請。これに応じて自民、維新、国民民主、参政、保守、公明沖縄県本部の6党が古謝氏を推薦し、保守・中道勢力をほぼ網羅する堅固な支援体制が構築された。
6党の支援を背景に、古謝陣営は県内各地で開いた集会で、会場に入りきれないほどの人数を動員するなど、序盤から圧倒的な組織力を誇示した。終盤には各党の幹部クラスも続々来県し、古謝氏と並んで街頭演説するなど、連帯をアピール。課題とされた知名度不足を克服した。
さらに県内で一定の支持基盤を持つ下地幹郎元衆院議員が立候補を辞退して古謝氏の支援に回ると、目に見えて古謝陣営の勢いが増した。
古謝氏は選挙戦のテーマを経済問題に絞り、10年後をめどに県民所得を倍増すると訴え、特に若い世代の期待を集めた。
辺野古移設問題で県と政府の対立が長期化し、沖縄振興に影響が出ていると不満を抱く経済界や市町村長も、県政刷新に向け古謝氏を後押し。最終盤には古謝氏の勝利に向かううねりが起きた。
玉城氏は従来の知事選と同じく共産、立憲民主、社民など革新リベラル政党の支持を得た。だが基礎票では劣勢で、無党派層に支持を広げるほか活路はなく、あえて政党の推薦を受けずに古謝氏同様「県民党」を掲げた。「オール沖縄」の呼称も取りやめた。
しかし過去の知事選で玉城陣営の牽引力となった辺野古移設問題が主要争点から外れ、当初から訴えの方向性が定まらない選挙となった。それでも8年間の実績を随所でアピールし、高い県民人気と知名度を武器に、一時は古謝氏に先行しているとの見方もあった。
ところが辺野古沖で2人が死亡する抗議船転覆事故が発生し、SNSなどで玉城氏の支持基盤である基地反対派への批判が殺到。玉城氏は正式な出馬表明を延期せざるを得なかった。
その後も玉城氏を支持する共産党の集会で、田村智子委員長が事故の謝罪に追い込まれるなど、事故は大小さまざまな逆風となって玉城陣営に吹き荒れた。
無党派層の離反が進む中、玉城陣営は「この選挙は自民党対県民党の戦いだ」「ネットで玉城氏が誹謗中傷されている」と主張して新たな対立構図を持ち込むなど、必死に局面の転換を図ったが、有権者の理解は得られなかった。 (仲新城誠)