2026年10月06日(火)
code 200 30℃ / 26℃
Close
  1. 沖縄八重山日報
  2. 社会
  3. 一般
  4. 「沖縄といえばキングス」を目指して B.PREMIER元年、仲間陸人社長と金城茂之氏が語る”沖縄をもっと元気に”するクラブの使命

「沖縄といえばキングス」を目指して B.PREMIER元年、仲間陸人社長と金城茂之氏が語る”沖縄をもっと元気に”するクラブの使命

2026/09/17 08:00

インタビューに応じる琉球ゴールデンキングスの仲間陸人社長(右)とキングス日本人初の永久欠番、金城茂之氏

キングスは、優勝するためだけのクラブなのか。

「B.PREMIER」元年を前に就任2年目を迎える仲間陸人社長は、その問いに迷いなく首を振る。

「沖縄の発展なくして、キングスの発展はありません」

強さだけではない。アリーナへの投資やチケット価格の見直し、子どもたちが集う空間づくり――その根底にあるのは、創設以来掲げる「沖縄をもっと元気に」という理念だ。

勝敗を超え、キングスは地域に何を残そうとしているのか。創設期を知る永久欠番のOB・金城茂之氏とともに語り合った。

 

▪️「沖縄をもっと元気に」――社長として迎えた一年

昨年7月に琉球ゴールデンキングスの社長へ就任した仲間社長にとって、この一年は激動だった。シーズン前半は苦戦が続き、ロスターの再編も経験。それでもチームは巻き返し、5年連続となるファイナル進出を果たした。

「谷の方が多かったシーズンでした。でも苦しい時間を全員で乗り越え、一つになれた。最後にファイナルまで進めたことは、このチームを誇りに思えた瞬間でした」

社長という立場になり、最も変わったのは「責任の重さ」だったという。

「社員や選手、その家族の生活を背負っているという意識は毎日ありました。目の前のお客さんが一人でも来なくなったら、この会社はどうなるのか。不安を感じることもありました」

それでも試合の日には、これまでと変わらずベンチ裏からチームを見守り続けた。

「キングスがここまで成長できたのは、トップチームがカルチャーを体現し、勝つ姿勢を示し続けてきたからです。エンターテインメントも、その土台の上にあります。だから私にとってトップチームは、何よりも大切な存在なんです」

創設初年度からクラブを知るOBの金城茂之氏も、その姿を自然なものとして受け止める。

「キングスは昔からフロントと選手の距離が近いクラブ。社長が試合を見続けるのもキングスらしさの一つです」

 

▪️「キングスがあって良かった」と思われるクラブへ

キングスの活動理念である「沖縄をもっと元気に」。仲間社長はこの「もっと」という言葉の意味を語ってくれた。

「沖縄は、僕らがいなくても元気なんです。でも、キングスがあることで『もっと』元気になってほしい。」

「もちろん経済効果や売り上げも大切です。でも、それ以上に『キングスがあって良かったよね』という会話が増えていくこと。それが結果的に沖縄を豊かにしていくと思っています」

その言葉に、創設初年度からクラブを支え続けた金城茂之氏は、20年間で街が変わったことを実感している。

「昔はキングスの金色のパンツを履いているだけで目立っていました。でも今では街中でキングスのTシャツや帽子を身に着けている人が当たり前にいる。キングスが沖縄の日常になったんだなと感じます」

現在は子どもたちにバスケットボールを指導する金城氏。岸本隆一選手の退団が発表された日には、スクールを休む子どもが相次いだという。

「それだけ子どもたちにとって特別な存在なんです。新しい選手が入れば目を輝かせて話してくれる。キングスは子どもたちだけでなく、その家族にも元気を与えていると感じます」

仲間社長は、自身が決して裕福ではない家庭で育ったという。

「子どもの頃にキングスがあったら、きっと毎日の楽しみになっていたと思う」

 

▪️理念を形に――未来への投資

その思いは、クラブ経営にも表れている。

今年9月に開幕するB.PREMIERを前に、キングスは沖縄サントリーアリーナにアジア初となるLED搭載の「VISIONフロア」を導入した。仲間社長は「派手な演出」が目的ではないと強調する。

「Bプレミアはキングスにとって大きなターニングポイント。このチャンスを逃したくなかった。次の成長につながる投資が必要だという危機感がありました」 

導入にあたって最も重視したのは、選手の安全性だったという。

「競技を犠牲にしてまでエンターテインメントを追求するつもりはありません。国際基準の認証も取得し、試験を重ねながら競技ファーストで進めました。

「演出は試合への集中を妨げないよう、試合中は過度なものは行わず、試合前やタイムアウトなどに限定して実施する予定です」

ファンが楽しめる空間づくりにも力を入れる。ゴーディーエリアやキングスわいわい広場を新設したほか、一部の座席では物価高の中でも価格を引き下げた。

「もっと気軽に多くの人に来てもらいたかった。映画館より安い価格で、一流のエンターテインメントを届けたいという思いがありました」

アリーナでキングスの試合を見た経験は、確実に子どもたちの思い出になる。

「子どもたちにも手が届く場所であり続けたい。」

 

▪️「沖縄といえばキングス」を目指して

B.PREMIER開幕を前に、仲間社長が描くキングスの未来は、優勝だけではない。

「もちろん毎年、一番高いところを目指します。でも『沖縄を世界へ』というビジョンを掲げている以上、競技だけでなくブランドとしてもアジアナンバーワンを目指したい。」

その思いの根底には、クラブが地域とともに歩んできた20年がある。

「沖縄といえばキングスと言われる存在になりたい。」

その姿を、金城氏も実感している。

ファイナル終了後には、キングスと長崎ヴェルカのファンが一緒に交流会を開き、試合の興奮を分かち合ったという。

「キングスをきっかけに新しいコミュニティーが生まれているんです。バスケットだけじゃない。人がつながって、元気になっていく。それがキングスの魅力だと思います」

仲間社長も、「人が豊かになるのは、お金だけではない」と話す。

「新しい会話やコミュニティーが生まれることも、豊かさの一つです。」

クラブ創設から20年。キングスは勝利を積み重ねながら、沖縄の日常に根付き、地域に新たなつながりを生み出してきた。

B.PREMIERという新たな時代を迎えても、その歩みは変わらない。

目指すのは、勝ち続けるクラブであると同時に、「キングスがあって良かった」と誰もが思える存在であり続けることだ。

 

▪️「OUR ARENA」へ

B.PREMIER元年を迎えるキングス。

仲間社長は、「OUR ARENA」という言葉に、クラブが目指す未来を重ねる。

「これからも一番高い目標を目指します。同時に、誰もが楽しめるアリーナをつくっていきたい。バスケットを見る人も見ない人も、『また来たい』と思える場所にしたいんです」

金城氏も、キングスの魅力は試合だけではないと話す。

「日常の中でキングスの話をする。それだけで少し幸せになれる。そんな存在になっていると思います」

OUR ARENAが目指すのは、誰もが集い、笑顔になれる場所をつくること。

勝利の先にあるのは、地域に根差し、人をつなぎ、「沖縄をもっと元気に」するクラブの姿だ。20年前に掲げた理念は、B.PREMIERという新たな舞台でも変わることなく受け継がれていく。