問われる自主解明力 検証委に委ねた「中立性」 同志社
事故後の対応について記者会見する学校法人同志社の八田理事長(中央)ら=10月30日午後、京都市内
辺野古船舶転覆事故から7カ月余りを経て10月31日に開かれた学校法人同志社の記者会見。冒頭、八田英二理事長らは亡くなった武石知華さんへの黙とうをささげ、遺族や負傷した生徒、保護者らに謝罪した。しかし、会見前半は八田理事長が用意された原稿を読み上げる場面が目立ち、事故の責任を負う法人トップとして、自らの言葉で安全管理体制の不備や今後の学校運営に対する決意を示すよう求める声が報道陣から相次いだ。会見は5時間を超え、厳しい質問が続いた。
法人は特別調査委員会の報告書を受け、事故の根本原因にガバナンスと内部統制の不全があったと認めた。仕組みの不備、教職員の安全管理意識の不足、問題を指摘しにくい組織風土が重なった「負の連鎖」が長年続いていたとの認識を示した。一方、八田理事長は法人全体については「風通しの良い組織」をつくってきたとの認識を示し、報告書が指摘した問題は主に同志社国際高で生じたものとの立場をにじませた。法人全体の管理責任を認めながら、組織風土の問題をどこまで自らの責任として捉えているのか、説明には隔たりが残った。
特に不明確さが浮き彫りになったのが、乗船に至る経緯と運航団体「ヘリ基地反対協議会」との関係だ。宿久洋校長は、学校側は協議会とやりとりしていた認識はなく、金井創船長との個人的な関係を中心に説明。金井船長を牧師として信頼する中で関係が深まり、船長としての安全性を別途確認する視点が欠けていたとした。宿久校長は「牧師としての金井、船長としての金井が一緒になってしまったことが問題」と説明した。
しかし、これまでの乗船に至る具体的な経緯や協議会との情報共有、運航実態について、学校側がどこまで調べ、確認してきたのかは明らかにならなかった。事故後の協議会との連絡については、遺族につないでほしいとの申し出の際のみであった。学校側の調査は金井船長と教員との関係を中心としたもので、運航団体との関係性や乗船に至る経緯の全容解明には至っていない。こうした未解明の部分を含め、今後どこまで検証するのかも課題として残った。
教育の中立性についても、八田理事長は平和学習で「一つの見方だけで行われたことは問題」と認めた一方、具体的にどのような学習内容に問題があり、誰に責任があったのかについては、新設した外部専門家による検討委員会の結果を待つ姿勢を示した。遺族から第三者による検証や過去の平和学習の検証を求められ、法人内の検証だけでは不十分と判断した経緯も説明した。
事故後の会見が7カ月以上開かれなかったことについて、八田理事長は検証や法人内の議論に時間を要したと釈明し、説明が遅れたことを謝罪した。保護者から不満や不信の声が届いていることも認めたが、事故原因や協議会との関係など、法人として把握していないとする事項も多く、説明責任を果たしたとは言い難い。
八田理事長は検討委員会の結果を踏まえて改善計画をまとめ、自ら説明責任を果たした後に辞任する意向を示した。一方で、総長職にはとどまり、教育改革を主導する考えを示している。安全管理室の設置やマニュアル改訂を打ち出したものの、制度が実際に機能するかは今後の運用にかかる。
事故の責任の所在も検討委員会の結果を待つとしており、法人として何を明らかにし、どのような責任を取るのかはなお見通せない。検証結果を待つだけでなく、法人自らが事故に至る経緯と組織の問題をどこまで解明できるかが問われている。 (新垣翔太)