【視点】離島医療の脆弱さ浮き彫り

 竹富町の県立八重山病院付属西表西部診療所で今月から常勤医が不在になり、石垣島の同病院や、西表東部の大原診療所からの代診医が対応している。日によっては臨時休診も強いられており、離島医療の脆弱性が改めて浮き彫りになった。
 謝花喜一郎副知事は28日、西大舛高旬町長の要請に対し、11月までに常勤医を配置する考えを示した。県の迅速な対応は評価したいが、住民は実際に常勤医が着任するまで安心できない。
 西表西部診療所は西表島西部の祖納地区にあり、診療対象の住民は船浮や鳩間島を含め約1500人に上るが、常勤医は一人。住民だけでなく観光客の急病やけがにも対応しなくてはならない。同診療所に限らず、西表島東部やその他の島々の診療所も基本的に医師は一人体制だ。今回のような事態は、どの離島でも起こり得る。
 離島で医師が不在になり、石垣島から代診医が派遣されれば、石垣島の医療体制にも影響が及ぶ。県が来月配置する予定の常勤医も、いずれかの地区の県立病院から派遣されるため、沖縄本島の医療体制にも変更が出るかも知れない。
 沖縄の医療体制が不安定になれば、国境の島々に人が定住したり、観光で出かけたりすることも困難になる。国境の島々が日本本土の防波堤の役割を果たしている以上、離島医療の不安定化は、日本全体の安全保障が不安定化することを意味する。
 離島の医師不足問題は離島だけの問題ではなく、巡り巡って日本全体にも深刻な影響を及ぼしかねない。これは東京の政権担当者にも理解してもらいたい。

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