視点 【視点】初の女性首相 迅速な政策実現を 内憂外患とも呼ぶべき危機的状況の日本で、初の女性首相が誕生した。世論の期待は大きいが、山積する課題にどう挑むのか、高市早苗首相は就任早々手腕を試される。就任会見では「強い日本経済を作り上げ、外交安全保障で日本の国益を守り抜く」と述べた。スピード感をもって政策実現にまい進してほしい。 最重要課題は経済対策だ。首相はガソリン暫定税率の速やかな廃止と、いわゆる「年収103万円の壁」の引き上げを挙げ、国民… 2025/10/23
視点 【視点】自民新総裁、初の「女性首相」へ 自民党総裁選で高市早苗前経済安全保障担当相が当選し、新総裁に選出された。自民党は少数与党だが、野党に一致して政権を樹立する動きがなく、臨時国会での首相指名選挙で、高市氏が首相に指名される可能性が高い。 日本の長い歴史上、女性が政治のトップに立った例はほとんどない。特に近代以降は皆無と言っていい。もちろん憲政史上でも女性宰相は初となる。 西欧諸国を見ると、英国では何人かの女性首相が誕生している… 2025/10/05
視点 【視点】反対派の逸脱 県民は共感せず ルールを逸脱した反対運動は、沖縄県民の共感を得られない。 中谷元防衛相は記者会見で「最近、沖縄における自衛隊の活動に対する過度な抗議活動、妨害行為が続いている。このような妨害行為で、訓練の内容の変更を余儀なくされたのは大変遺憾だ」と述べた。 防衛相が言うように、自衛隊に対する反対運動絡みのトラブルが沖縄で頻発している。懸念を禁じ得ない。 宮古島では今月、日米実動訓練「レゾリュート・ドラゴン… 2025/09/21
視点 【視点】「石破カラー」最後まで出ず 石破茂首相が退陣を表明した。政権が短命に終わった大きな理由は、政権運営で「石破カラー」を十分に発揮できなかったことだ。 昨年の就任直後に衆院を解散したものの衆院選で大敗し、自公は少数与党に転落して政策推進力を失った。法案成立に野党の協力が必要になり、国会運営で政策面での妥協を強いられた。 首相は総裁選の時点では、野党との十分な政策論争を経た上で衆院を解散する意向を示していた。だが一方的に前言… 2025/09/10
視点 【視点】関税交渉 右往左往の日本 日本政府がトランプ関税で右往左往している。赤沢亮正経済再生担当相は4日、対米交渉のため米国に出発した。訪米は実に10回目を数える。 7月の8回目訪米の際、いったんは交渉をまとめ上げたとして、SNSに「任務完了」と書き込んだのは何だったのか。「交渉の達人」を自任し、世界を翻弄するトランプ米大統領と渡り合う難しさはあるにせよ、日本は手玉に取られているというほかない。日本人として情けなさを感じてしま… 2025/09/05
視点 【視点】沖尚が全国制覇 感動と誇り 初戦から全試合が3点差以内の接戦という粘り強さ、強豪校を次々と撃破するたくましさを思うと、決勝の大舞台も最初から負ける気はしなかった。第107回全国高等学校野球選手権大会決勝で沖縄尚学が日大三高を3対1で破り、夏の甲子園初優勝を成し遂げた。 県勢としては、甲子園では夏15年ぶり2回目、春も含め通算5回目の全国制覇となる。県民に感動と誇りを与えた活躍は見事だった。 エース末吉良丞は、初戦から大… 2025/08/24
視点 【視点】「反省」復活 率直に疑問だ 戦後80年の15日、石破茂首相は政府主催の全国戦没者追悼式で「戦争の惨禍を決して繰り返さない。進む道を二度と間違えない。あの戦争の反省と教訓を、今改めて深く胸に刻まねばなりません」と述べた。 首相の式辞に「反省」が入るのは民主党政権の野田佳彦首相以来、13年ぶりだ。自民党の政権復帰後、安倍晋三首相以降は一度も使われていない。なぜ今、あえて「反省」の2文字を復活させる必要があるのか、率直に疑問だ… 2025/08/16
視点 【視点】沖縄観光の新たな目玉に 沖縄本島の今帰仁村と名護市にまたがる約120㌶のエリアで、県内初の本格的なテーマパーク「ジャングリア沖縄」が開業した。沖縄観光の新たな目玉となれば、本島北部だけでなく、離島を含めた県内全域への経済波及効果にも期待が高まる。 ジャングリア沖縄を企画したのは、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の再建で知られる森岡毅氏が代表取締役CEОを務める株式会社「刀」だ。 約700億円を投じ、沖縄本… 2025/07/31
視点 【視点】参政党、沖縄でも勢い 参院選沖縄選挙区では、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に反対する「オール沖縄」勢力の高良沙哉氏が初当選した。だが、選挙戦を終えてみると最大のトピックは「オール沖縄」勢力の議席死守というより、全国共通の現象となった参政党の躍進かも知れない。 高良氏は約26万5千票、自民党公認、公明党推薦の奥間亮氏は約23万2千票を獲得したが、参政党が擁立した和田知久氏の得票も約12万7千票に達した。「オール沖… 2025/07/23
視点 【視点】「不戦」だけで平和は守れず 沖縄は23日、戦後80年の慰霊の日を迎えた。県は平和祈念公園で全戦没者追悼式を開き、恒久平和の願いを内外に発信した。凄惨な沖縄戦の記憶を次世代に継承し、不戦の誓いを新たにした。 だが沖縄を取り巻く国際環境は年々厳しさを増している。中国が軍事力を拡大し、台湾や石垣市の尖閣諸島周辺で威嚇的な行動を強めている。 今月も中国空母2隻が太平洋で初めて同時に活動し、沖縄の目と鼻の先でも戦闘機の発着艦を繰… 2025/06/24
視点 【視点】天皇ご一家来県 悲劇の記憶癒やす 戦後80年の節目に合わせ、天皇・皇后両陛下と長女愛子さまが4、5の両日、沖縄を訪問された。 天皇・皇后両陛下の訪問を「行幸啓」という。天皇陛下の沖縄訪問は皇太子時代を含め7回目、天皇・皇后両陛下での沖縄訪問は2回目、愛子さまの沖縄訪問は初めてとなる。 今回は「ありったけの地獄を集めた」とも形容される熾烈な沖縄戦で犠牲になった人たちを慰霊する旅だ。 それは沖縄戦の悲劇を国家として永久に記憶に… 2025/06/06
視点 【視点】農相発言 庶民感覚との乖離に驚く 江藤拓農相が「米は買ったことがない。支援者がたくさん下さるので、家の食品庫に売るほどある」と発言し、石破茂首相に更迭された。国民が米価の高騰に苦しむ中、政治があまりに庶民感覚と乖離していることに驚く。農相は本当に米を買ったことがない恵まれた環境の人なのかも知れないが、それを人前で平然と口にするところが、現場を知らない政治家の恐ろしさである。 後任には小泉進次郎自民党前選対委員長が任命された。総… 2025/05/22
視点 【視点】沖縄と本土 分断ではなく協調を 「復帰っ子」は1972年、沖縄が日本に復帰した年に生まれた人たちで、沖縄では今でも、一種の特別な存在として扱われている。沖縄県民にとって復帰とは、長い沖縄の歴史の中でも、また一人ひとりの個人としても、それほどに強烈なインパクトを持つ出来事だった。 県民の本土に向ける眼差しはちょうど、復帰っ子の世代を境目に、大きく性質が変化したような気がする。 復帰っ子以前の世代は、本土と沖縄が分断された時代… 2025/05/15
視点 【視点】尖閣 徐々に間合い詰める中国 石垣市の尖閣諸島周辺で、恒常化している中国海警局艦船の領海侵入に加え、艦載ヘリの領空侵犯も発生した。尖閣諸島は日本固有の領土であり、日本が実効支配しているが、中国側も日本領の侵奪に向け、徐々に間合いを詰めている。海上保安庁が領海警備に当たり、背後で自衛隊も控えていると推察されるが、住民も含めて現状に危機感を持ち、事態を注視する必要がある。 3日、尖閣海域を航行している中国海警局艦船から飛び立っ… 2025/05/13
視点 【視点】今年も前進しない改憲論議 米軍基地問題の根本的な問題は何か。そう問い直すと、日本の安全保障を事実上、米国に委ねているという国のあり方に行きつく。 日本がそのような国になっているのは、ほかならぬ憲法にこう書いてあるからだ。「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」。 9条に定められた交戦権の否認、戦力の不保持もある。自国で軍隊を持てない以上、他国に守ってもらうほかない。 だ… 2025/05/04
視点 【視点】「オール沖縄」存在意義失われた 「オール沖縄」勢力の連敗ドミノが止まらない。 うるま市長選は自公が推す現職、中村正人氏が玉城デニー知事に支援された元県議、照屋大河氏らを破って再選を決めた。県内11市で「オール沖縄」勢力の市長がゼロという状況は今後も続く。 「オール沖縄」勢力は県民の信を失っている。さらに言えば「オール沖縄」勢力の存在意義そのものが失われている。玉城県政はこの現状を真正面から受け止め、基地反対に偏重するのでは… 2025/04/29
視点 【視点】「方言文化」継承の意義 方言を使った者に対する罰として首にかけられる「方言札」が、明治から沖縄の学校現場で使われていたことはよく知られている。方言撲滅運動は、沖縄と日本本土の一体化に向けた政策として進められた。 そんな「弾圧」にもかかわらず、方言は戦後までしぶとく生き残った。 ところが皮肉なことに、権力の束縛から解き放たれ、自由にどんな言葉でも話せるようになった現代、方言は私たちの日常生活から姿を消そうとしている。… 2025/04/24
視点 【視点】佐賀県知事訪問 町民の励みに 台湾有事を念頭に、政府によって与那国町民の避難先に想定されている佐賀県の山口祥義知事が同町を初訪問した。与那国町は台湾に近い日本最西端の国境の島で、住民は他の自治体にもまして台湾有事の可能性を懸念している。避難先の首長が現地を訪れたのは、不安を抱く町民に寄り添う姿勢を示すもので、町民には励みになる。有意義な訪問だ。 与那国町の糸数健一町長は昨年9月17日、町民受け入れに感謝の意を示すために佐賀… 2025/04/09
視点 【視点】「自国第一主義」の潮流 トランプ米政権が全世界からの輸入品に課す「相互関税」が発動された。当面は一律10%だが、米国は9日には、貿易赤字の大きい国や地域の税率を引き上げる。世界最大の経済大国が「貿易戦争」の火ぶたを切ったとも思える状況だ。 これまで自由主義経済の騎手だった米国が、露骨な「自国第一主義」に転換した。トランプ政権を「利己的」と非難するのはたやすい。 だが関税発動は、トランプ大統領のかねての公約であり、こ… 2025/04/06
視点 【視点】思考停止では命救えぬ 政府は台湾有事を念頭に、国境に近い先島諸島の5市町村住民を九州に避難させる計画を公表した。 住民としては、できれば考えたくない事態である。だが考えることを拒否して思考停止になっては、万一の事態で救える命も救えなくなる。 県民の4人に1人が犠牲になったといわれる沖縄戦の惨禍を教訓に、政府は今後、計画をより緻密に練り上げていかなくてはならない。 計画では、先島5市町村の住民12万人を6日間で九… 2025/04/03