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「国境は主権者教育が重要」 君が代決議は議会のチェック機能 八木秀次教授インタビュー

2025/11/07

インタビューに答える八木氏=10月28日、那覇市

石垣市議会が教育委員会に対し、国歌「君が代」を歌えるか児童生徒に問うアンケート調査の実施を求める意見書を可決した。八重山日報社は、政府の教育再生実行会議で有識者委員を務めた麗澤大学の八木秀次教授に見解を聞いた。

―市議会の決議をどう考えるか。
「教育現場で国旗国歌の指導がきちんと行われていない懸念がある。二元代表制の市議会が教育行政の在り方をチェックするということであり、違法ではない。むしろ、国歌が歌えるかをチェックせざるを得ない石垣市の教育の在り方が問題ではないか」

―国旗、国歌を学校で指導すべき根拠は。
「国旗国歌の指導は学習指導要領で義務付けられた。これに対し、初期のころは学習指導要領とは教育の大綱であって法的な拘束力はなく、従わなくていいと言われていた。しかし、学習指導要領には法規としての性格があり、法的拘束力を持っているという最高裁の判決が出た」

「すると反対する教員たちは、日章旗が国旗で君が代が国歌という法的根拠はないと主張した。国旗国歌法が制定され、日の丸、君が代の法的根拠が整備されると、今度は『強制は内心の自由の侵害』と言い出した」

「だが学習指導要領で求めているのは国歌『君が代』を歌えるよう指導するということで、歌唱を強制するということではない。たとえば子どもの口をこじあけて歌わせるとか、歌わなければ家に帰さないとかは強制であり、許されない」

「学習指導要領は、教員が『国旗国歌とはこういうものだ』と児童生徒に教えるとともに、教えられる児童生徒も実際に主体的に国歌を歌えるようにならければならないことを求めている。教員はそこまでの指導をしなければならない、ということだ」

「今回の石垣市議会の意見書は、まさに実際に児童生徒が歌えるのかという教育の成果を確認する趣旨だ。それは教育基本法が禁止している教育に対する不当な支配ではない」

―意見書は政治の不当な介入という反対の声がある。
「教育基本法では、チェック機能を果たす役割までは禁止されていない。むしろ今回は、国歌が歌われていない現状に対し、議会としてやむなく意見書という手段に出た」

―沖縄戦の歴史を背負う県民に国歌は違和感があるという反対意見も出ている。
「国旗国歌の指導は主権者教育として行うべきものだ。国家への帰属意識、国家の構成員としての責任感を育む。国家の運営に主体的にかかわる意識を育てるということだ」

「石垣市は国境を接する自治体であり、主権者としての意識が他の自治体よりもいっそう求められる。国旗国歌の指導にとどまらず、領土、領海、領空に関する教育も他の自治体よりも充実が求められるだろう」

「将来を担っていく児童生徒に主権者意識をより明確に持たせるのか。あるいは逆に主権者意識のない市民を育てていくのか、その点が問われている」