【視点】立志と感動の入学式に

 各学校の入学式シーズンを迎えた。ユリ咲き誇る陽春の中で、夢と希望を胸いっぱいに抱いて入学する小学校、中学校、高校の新一年生。その喜びは格別に大きなものだろう。強い決意を持って志を立て、一生の思い出となる学校生活にしてほしい。
 沖縄の教育現場では課題も多い。とりわけ深刻なのは学力不振問題だ。国も地方も最大の資源は人材であり、社会に貢献する能力の源泉は幼少時代の勉学にある。
 子どもたちには学校生活を通じ、規則正しい生活習慣や学習習慣を定着させる必要がある。特に家庭学習の習慣化は必須だ。親も学校任せにせず、子どもたちが家庭学習しやすい環境づくりに努力してほしい。
 勉強の楽しさを子どもたちに実感させる教師の役割も重要だ。教師の情熱ある授業がきっかけで特定の科目が好きになり、終生の得意分野とした人もいる。教師がサラリーマン化してはいけない。使命感を持って資質向上に励んでほしい。
 学業だけでなくスポーツも子どもたちの心身を育む。学力向上というと勉強に偏重してしまいがちだが、スポーツもまた子どもたちの克己心や友情、規律を養う。学業と部活動のバランス良い両立を心がける必要がある。
 近年、深刻な現状が明らかになっているのが児童虐待の問題だ。沖縄に居住経験がある子どもが、学校などに親からの虐待を訴えたにもかかわらず、誰からも救いの手を差し伸べられずに死亡する痛ましい事件が起きた。
 子どもの貧困問題も児童虐待と連動する。親から子への「貧困の連鎖」を断ち切るには、社会の手助けが欠かせない。ここでもやはり、子どもたちと日常的に接する学校の役割は大きい。一人ひとりへのきめ細かい指導を徹底してほしい。
 いじめによる自殺のニュースも後を絶たない。
 子どもに命の大切さを教えるのは当然だが、理不尽な要求に立ち向かうだけでなく、時にはそこから逃げ出すことも、立派な勇気であることに気づかせたい。我慢の限界だと感じたら、親や教師などに頼ることは少しも恥ずべきことではない。
 学校は子どもたちの些細な変化を見逃さず、常にSОSに気づける体制を構築してほしい。ここでもやはり、教師のサラリーマン化は厳に慎まなくてはならない。
 人生で大きな事業を始めるには、まず「立志」が大切だ。
 論語の「「吾(われ) 十有五にして学に志す」と言う言葉はあまりにも有名である。学業の道へ本格的に歩み出す中学、高校の3年間は今後の人生を大きく左右する貴重な時間だ。
 真新しい制服や教科書、級友や先輩たちとの出会いは心をわき立たせる。その感動を忘れることなく、常に初心に立ち返る原点としての「入学式」でありたいと思う。

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