文化 OKINAWA考古学(10) 先週に引き続き、沖縄本島うるま市沖合の南浮原島の海底に眠る難破船の遺物の紹介。沖縄県立埋蔵文化財センターの調査によると、海底の砂の中から船釘が2本露出しており、木製の船体の一部が残っていることが推察されるという。 また、海底の岩の間には透明なガラス製品や、鳥を模した装飾品などが見つかっている(写真1)。いつ頃の船なのか興味深い。 現場からは船体を安定させる重りとして使用されたバラストも見つかってい… 2022/06/25
文化 OKINAWA考古学(9) 今回は、沖縄本島近海の事例を紹介したい。うるま市勝連の沖に、南浮原島という小さな島がある(写真1)。 この島の海底に船体の一部や中国産陶磁器、ガラス製品、石のバラスト、鉄・銅製品などの近世・近代の遺物が確認されている。外国船が座礁・沈没したものと考えられる。岩盤が海面近くまで突き出た地形が多く、昔の船乗りには海の難所だったのだろう。海底には、鉄と考えられる物体に棒状の突起が2つあった。船体の一部と… 2022/06/24
文化 OKINAWA考古学(8) 多良間島北西部・高田海岸沖の海底遺跡。この海域で座礁・難破したオランダ商船ファンボッセ号の残骸と考えられる多量の遺物が確認されている。中国産陶器や、船の銅釘(写真1)、転覆を防ぐバラスト(重し)も見つかっている(写真2)。 なお、中には、用途の特定できない銅製品の破片も見つかっている(写真3)。一体、船のどこの部品だったのだろうか(写真提供=沖縄県立埋蔵文化財センター。同センター調査報告書第52集… 2022/06/23
文化 OKINAWA考古学(7) 先週お知らせした、多良間島北西部の高田海岸。難破したファンボッセ号は、上海からシンガポールに向かう途中だったとされている。沖縄県立埋蔵文化財センターでは、写真左奥に見える2つの岩の近くの海底で遺物を多数確認した。恐らく、この近くで座礁したのだと考えられる。 その1つが、中国産青花皿。絵付けが消えかけており、割れた部分が丸くなっていることなどから、海底で何度も摩擦を受けていたようだ。難破さえしなけれ… 2022/06/22
文化 OKINAWA考古学(6) 石垣島南西の黒島沖海底からも、多数の沖縄産陶器が密集した状態で見つかっている。種類としては、碗や壺、すり鉢などで、砂の中にたくさん埋もれていた。また、遺跡群の近くからは、木造船と思われる船体に一部も確認出来た(写真1)。 ヤンバル船と呼ばれる交易船が積荷を載せた状態で沈んでいる可能性があるというから、今後の詳細な調査が楽しみだ。当時の八重山諸島を往復していた船の形や、沖縄産陶器の運搬状況などを知る… 2022/06/21
文化 OKINAWA考古学(5) 潜水調査では、遺物が確認出来た場所に目印をつけ、散布している範囲を調べる(写真1)。海底に半分以上埋没している場合もあり、砂を払って遺物の確認を行ったり、2人がかりで連携を取りながら、GPSで位置記録を取ったりする。潜る時間が長くなるのも、むべなるかなだ。 ともあれ、努力の甲斐もあって、来間島沖の海底では、中国産青花皿、青磁碗、青磁香炉などを特定できている。大型の壺類も積んでいた船もあったと推定さ… 2022/06/20
文化 OKINAWA考古学(4) 宮古島南西に位置する小さな島、来間島。西部の海岸(写真1)には、16世紀前半と考えられる中国産陶磁器が多数確認されている。内面に十字花文が描かれた青花皿も漂着していた。浜辺の散歩が楽しくなりそうである。 海底も同様だった。沖縄県立埋蔵文化財センターが調査したところ、青花を中心に青磁・白磁・褐釉陶器などが見つかったのだ。琉球王国の全盛期には、中国と琉球との間に多くの貿易船が行き交った。同時期の県の陸… 2022/06/19
文化 OKINAWA考古学(3) 前回に続き、宮古島北方の巨大サンゴ礁群の八重干瀬での調査から。海底には船の残骸や、中国産陶磁器の他にガラス製のワイン瓶(写真1)も見つかっている。 中央の大きな丸いくぼみから瓶だと判別された。ガラスの中には大小様々な気泡が見られたという。 宮古島では、東部の吉野海岸に近世の陶磁器が散布している。また、海岸や海底には多量の方柱状や板状の石材、銅板などが見つかっていることから、昔の船乗りにとって海の難… 2022/06/18
文化 OKINAWA考古学(2) 当たり前ではあるが、海底だと足がつかない深さの場合がある。そうなると、連携作業が必要だ。遺物の位置を示す人と、海上でGPSを操作する人に分かれて記録していく。 更に、遺物が大きい場合は、こうやって2人がかりで潜ったまま目標物の計測や正確な実測図を作成していくのだ(写真1)。 遺物の種類は多岐にわたるが、グスク時代(11世紀から16世紀頃までの、琉球王国が成立し、王政が本格的に確立するまでの期間)以… 2022/06/17
文化 OKINAWA考古学(1) 東西に約千キロ、南北に4百キロの海域に大小様々な島が群在する沖縄県。先史時代より海を重要な生活や生産の場とし、琉球王国時代は交易で繁栄した歴史を持つ。 そんな沖縄沿岸部の海域には多くの遺跡が存在することが想定されている。沖縄県立埋蔵文化財センターでは、ユネスコが2009年1月に発効した「水中文化遺産保護条約」を受け、海底に眠る遺跡の分布状況や内容を把握する作業に乗り出している。 その調査は、根気強… 2022/06/16
文化 「祖国復帰は悲願」 前日祭で尚家23代当主 尚家と祝う沖縄県祖国復帰50周年「祖国復帰の日」前日祭(主催・沖縄県祖国復帰記念大会実行委員会)が14日午後、那覇市のパレット市民劇場で行われた。 ほぼ満員状態の会場で、尚家23代当主の尚衞氏はあいさつし「敗戦後の米軍統治下において、祖国日本への復帰は百万県民の悲願で、運動の積み重ねが日米両政府を動かした」と述べた。復帰50周年は沖縄にとって非常に重要な節目だと強調した。 尚氏は「尚家の魂は常に沖… 2022/05/15
文化 準備室設置を要請へ 新博物館、市民意見反映も 館長「職員配置を調整」 博物館協議会 石垣市立八重山博物館協議会(太田静男会長)が24日、市役所で開かれ、仮称・新八重山博物館建設に向け、市に対して準備室設置と市民の意見反映を求める要請書を出すことを決めた。八重山博物館の砂川栄秀館長は、新博物館建設に向けた庁内の作業について「準備室になるかどうかは別にして、新年度に専門的に職員を配置できるか、最終調整している」と報告した。 同博物館事務局は、昨年11月に新博物館建設検討有識者会議が市… 2022/02/25
文化 さらなる友情と絆誓う 竹婦連が結成50周年式典 竹富町婦人連合会(宇根和子会長、会員286人)は結成50周年を記念して27日、西表島大原小学校で記念式典と第37回婦人大会を開いた。会員らはこれまでの歴史と先人たちの功績に感謝し、互いにさらなる絆を深めると誓った。 各島々から集まった約160人の会員と多くの来賓に宇根会長は「島々の女性たちは半世紀にわたり友情の絆を深め、学びの場を展開してきた。人と人とが寄り添ってこそ豊かな社会が構築される。今日改… 2021/11/28
文化 リアルとデジタル融合 石垣島まつり、うたの日とコラボ 第57回石垣島まつり2021(主催・同実行委員会)が6日、石垣市内で開催された。恒例の凧あげのほか、ことしは石垣市のシンボルとして、祭りの会場にもなっていた石垣市役所が移転のため、現庁舎にプロジェクターで映像を投影する屋外プロジェクション企画も行われた。昨年に続き、市民大パレードや新栄公園でのステージイベントなどは新型コロナウイルスの影響で実施されず、石垣市出身の3人組バンド・BEGINのうたの日… 2021/11/07
文化 民謡学ぶモニターツアー 県外在住者から参加者公募 YVB 一般社団法人八重山ビジターズビューロー(YVB、会長・中山義隆石垣市長)は5日、県外在住者を対象に「八重山民謡を習得して八重山とつながろう」をテーマにした6泊7日のモニターツアー参加者を公募する、と発表した。八重山各地を訪れながら、プロの歌手に三線を学ぶ旅になる。 モニターツアーは日本トランスオーシャン航空(JTA)が事業主体となり、JALJTAサービスが主催、YVBが企画した。新たな沖縄観光… 2021/11/06
文化 7年ぶりにいしゃなぎら結願祭 弥勒お出まし、みょうら旗頭奉納 いしゃなぎら結願祭(主催・石垣字会、同実行委員会)が24日、宮鳥御嶽で7年ぶりに挙行された。弥勒神のお出まし・みょうら旗頭を押し立て、宮鳥御嶽から石垣小学校周辺を練り歩き、五穀豊穣に感謝し、字民の無病息災を願った。 午前の練り歩きにはみょうら旗頭、太鼓隊・山内之手、弥勒、袖持ち、五穀かご持ち、三線、笛隊、三役、顧問、長老、役員が続き、祝もちをふるまう「ゆがふ花車」には棒術隊、石垣小学校4年生、少年… 2021/10/25
文化 2年ぶりに笑顔でフラ フェスに全国から100人 石垣市 石垣島フラフェスティバル2021(同実行委員会主催)が17日午後、石垣シーサイドホテルの中庭で開かれた。全国から15チーム約100人が参加。川平の青い海を背に自慢のフラを披露し、石垣島にハワイの風を届けた。 新型コロナウイルスの影響で2年ぶりの実施となった。感染防止の観点から無観客開催となったが、イベントの様子はユーチューブを通して生配信された。 京都から姉妹で初参加したイリラニさん(45)… 2021/10/19
文化 コロナ禍越え希望の響き コンサート本格再開へ 石垣フィルきょう定演 コロナ禍の石垣島に希望のハーモニーが響く―。島のアマチュアオーケストラ、石垣フィルハーモニー管弦楽団の第3回定期演奏会が17日午後2時から、石垣市民会館大ホールで開かれる。先月末の緊急事態宣言解除後、八重山で再開する初の本格的なコンサートで、団員たちは「久しぶりに音合わせをして鳥肌が立った」と、演奏できる喜びを噛みしめている。 石垣フィルは2014年に結成され、各地でのファミリーコンサートや定期演… 2021/10/17
文化 すぎやまこういちさん死去 90歳、石垣の子に心寄せる 尖閣問題にも高い関心 人気ゲーム「ドラゴンクエスト」の音楽や「学生街の喫茶店」などで知られる作曲家のすぎやまこういち(本名椙山浩一)さんが9月30日、敗血症性ショックのため死去した。90歳。東京都出身。葬儀・告別式は近親者で行った。後日、お別れの会を行う予定。 すぎやまさんは生前、石垣市の子どもたちに心を寄せており、2018年~20年にかけ、学校のクーラー設置や児童生徒の楽器購入のために計3040万円を市に寄付した。 … 2021/10/08
文化 「電信屋」県指定史跡に 日本の台湾経営知る遺跡 県教育委員会は27日、石垣市屋良部半島の「海底電線陸揚室跡(電信屋)」を県指定史跡として広報に掲載した。電信屋は1897年(明治30年)、政府が日本本土と台湾基隆を結ぶ海底電線を陸揚げする中継基地として建設。日清戦争後の台湾経営など、近代日本の政策や軍事に関する遺跡として知られる。石垣市の県指定史跡としては4件目。 1894年(明治27年)の日清戦争後、台湾が日本領になると、陸軍省は台湾の監視と植… 2021/08/27