【視点】安定した台湾、沖縄にも不可欠

 新型コロナウイルスの影響で海外からの来県はほぼストップしているが、昨年は台湾から外国客としては最多の約94万人が沖縄を訪れた。八重山を訪れる外国客もほとんどが台湾人だ。沖縄と台湾は経済的関係も切っても切れない。
 ただ、台湾と八重山の関係が常に友好一色だったわけではない。
 対中融和路線の国民党政権時代、台湾は尖閣諸島の領有権を主張して周辺海域に巡視船を派遣し、日本の巡視船とにらみ合ったこともあった。
 日台漁業取り決めの締結後は、圧倒的な量の台湾漁船がマグロの好漁場を占拠し、八重山の漁船が事実上締め出される事態も起きている。両者の友好は、こうした事態を乗り越えて構築されてきた。
 中国が台湾への軍事的圧力を強めたり、台湾に親中政権が誕生したりすると、沖縄もまた不穏な情勢に巻き込まれる。民主的な台湾が安定して存在することは、沖縄の平和と繁栄の条件でもある。
 台湾に対する中国の圧力は、新型コロナウイルスとの世界的な戦いの中でも問題になっている。世界保健機関(WHО)総会へのオブザーバー参加を望んだ台湾に対し、中国は「一つの中国」の原則を訴えて拒否し、参加は認められなかった。
 菅義偉官房長官は「残念だ。国際保健の課題に対応するにあたっては、地理的空白を生じさせるべきではない」と述べた。新型コロナウイルスへの対応も含め、中国寄りとされるWHОの体質を客観的な視点で検証すべき時が来ている。

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