【視点】コロナ対策 本島と離島に温度差

 東京都で2日、新型コロナウイルスの新規感染者数が100人を超え、感染再拡大の懸念がますます高まっている。沖縄には東京をはじめとした大都市圏からの直行便が乗り入れており、東京での流行がそのまま沖縄に波及する恐れも大きい。水際対策の強化、感染者発生を想定した対策の徹底が求められている。
 だが、県と八重山、宮古の連携体制に、どことなく隙間風が吹いている。それを感じさせたのは、1日に県がウェブ会議方式で開催した沖縄振興拡大会議だ。玉城デニー知事や県幹部と市町村長らが新型コロナウイルス対策で意見交換した。
 本島や本島周辺の離島の首長は、おおむね県の新型コロナ対策に肯定的だった。防疫体制の構築で、県との連携がスムーズにいったことに感謝する首長もいた。
 一方、先島の首長からは、県を難詰するような口調の質問が相次いだ。宮古島市の下地敏彦市長、中山義隆市長は、県が那覇空港に設置した「旅行者専用相談センター(TACО)」が、いつ宮古、新石垣空港に設置されるのかをただした。
 離島空港へのTACО設置方針は決まっているが、時期は明示されていない。八重山でも観光客の受け入れが本格化しつつあり、中山市長は「すぐにでもスタートしないといけない状況にある」と苛立ちをあらわにした。
 竹富町の西大舛高旬町長は、離島で感染者が発生した場合の搬送体制を明確にするよう迫った。県は消防団が石垣島までの搬送を担当し、消防団がない島の場合は八重山保健所と調整すると答えた。だが、感染症の専門家でない消防団に、どこまでリスクの高い業務を任せられるのか疑問が残る。
 西大舛町長は離島に医師、看護師が2人常駐する体制の構築も求めたが、県から明確な回答はなかった。
 与那国町の外間守吉町長は、ウェブ会議方式での意見交換について「空手会館などの大きな会場でも開催できたのでは」と、わざわざ苦言を呈した。
 県の新型コロナウイルス対策は、本島周辺の自治体では、おおむね高評価と言っていい。だが宮古・八重山の離島では、逆に不満が高まっている。この温度差は、県の対策が、離島の隅々まで行き届くようなきめ細やかさに欠けていることを示している。
 離島は医療体制が脆弱なだけに、感染者発生に対する危機感もなおさら強い。県には、住民の不安感を払しょくする政策の提示に努力してほしい。
 前述のようにTACОに関しては、離島空港での設置方針は決まっている。だが、実際にどのようなものになるのか、一向に見えていない。
 那覇空港に先行して設置されたTACОは看護師が常駐し、観光客の体調管理全般をフォローする態勢だ。宮古、新石垣空港に設置するTACОについては、玉城知事が「分室」という表現を使い、県担当部局も「那覇空港と全く同じ体制にするのかどうかも含め、自治体と検討したい」との考えを示している。那覇空港のTACОに比べ、グレードを落とした態勢を想定しているようにも聞こえる。
 那覇空港と離島空港では乗降客数の規模も異なり、全く同じ体制を構築する必要はないかも知れない。離島特有の事情も加味すべきだろう。だがいずれにせよ、離島の水際対策を実質的に強化できる態勢でなくてはならない。

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