県内初の市民後見人誕生 「本人に寄り添った支援を」 沖縄市の吉田さん

県内で初めて市民後見人に選任された吉田由美子さん(中央)。吉田さんを後見監督人として監督・支援する沖縄市社協の積靜江会長(右)と福祉サービス利用支援課の知念美紀課長=11月30日、沖縄市社協

 認知症や精神・知的障がいなどで判断能力が不十分な人の権利を守るため、財産管理や身上保護などを本人に代わって行う成年後見制度に基づき、親族以外の一般市民が後見人となる「市民後見人」が11月28日、県内で初めて誕生した。那覇家庭裁判所沖縄支部から後見人として選任を受けたのは、沖縄市の吉田由美子さん(67)。「対象者の健康状態や思いを探りながら、本人に寄り添った支援を心がけたい」と語った。
 これまで沖縄市社会福祉協議会が法人として後見(法人後見)していた対象者が吉田さんに引き継がれる。市社協は今後、家庭裁判所より後見監督人に選任され、後見人の監督業務や支援に移る。後見監督人の選任は県内の社協としては初めて。

 吉田さんは2012年、市社協が実施する約8カ月に及ぶ養成講座を受講。その後、実務研修や法人後見の対象者の支援に関わるなど実績を積んできた。「これまで社協が行っていたご本人の通帳や印鑑などの管理、記録や家庭裁判所への報告書も自分で作らないといけない。後見人としてしっかり自覚したい」と決意した。
 市社協の積会長は「初めてのことだらけだと思うが、分からないことがあったらいつでも社協に相談してほしい」とエールを送る。市社協福祉サービス利用支援課の知念美紀課長は「試行錯誤の部分がある。報告書類の様式の作成や福祉関係者を集めてスムーズな引継ぎをするなど、吉田さんが活動しやすいようにサポートしたい」と話した。
 日本成年後見法学会理事長で中央大学法学部の新井誠教授は「今後は専門職、親族、市民後見のバランスが必要。沖縄には沖縄なりのバランスや成年後見人の在り方を考えるいい機会。これを機に沖縄の成年後見が発展していく契機になることを期待したい」とコメントした。
 沖縄市社協では今後も市民後見人の確保に取り組むとしており、19年度に養成講座を開催する。

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