有識者、辺野古移設に否定的 県民投票フォーラムで議論

県民投票フォーラムで、辺野古移設に対する疑問点を説明する小川氏=7日夜、沖縄タイムスホール

 「辺野古米軍基地建設のための埋め立て」の賛否を問う24日の県民投票に向け、県は7日、有識者3人を招いた「県民投票フォーラム」を那覇市の沖縄タイムスホールで開いた。有識者からは、米軍普天間飛行場の辺野古移設に賛成する意見はなく、否定的な意見が相次いだ。県民投票条例で、知事は中立的な立場で広報を行うことが求められているが、フォーラムに辺野古移設賛成の有識者が参加していないことに、一部では批判の声も上がる。改めてフォーラムの議論を振り返る。

 フォーラムで軍事アナリストの小川和久氏(静岡県立大特任教授)は辺野古移設について「軍事的合理性はゼロだ。全くだめ。キャパシティ(収容力)が狭過ぎ、海兵隊の作戦に必要な広さを持っていない」と切り捨てた。
 移設先が辺野古に決まった理由として「米国防総省に聞くと、日本の国内問題だし、民主党政権直前の段階では、地元が受け入れると言っていた。中国に対し、日米同盟が安定的に維持されていると示すことが最優先とされ、海兵隊には泣いてもらったとはっきり言っていた」と証言。移設費用が巨額に上ることも疑問視した。
 辺野古移設反対論者である前泊博盛沖縄国際大教授は「基地建設を進めている自民党の人が来て、説明してもらえれば分かりやすいが」と前置きした上で、辺野古移設を普天間飛行場の危険除去に向けた「唯一の選択肢」と位置付けている政府見解を紹介した。
 一方で海を埋め立てることによる環境破壊、辺野古住民への騒音や事件・事故被害の懸念を挙げ「辺野古の皆さんには非常に大きなデメリットになるかもしれない」と指摘。移設受け入れに伴う政府の地域振興策については「地域に限定される振興ではなく、沖縄全体の振興策として生かせるかも問われてくる」と問題提起した。
 県民投票で埋め立て反対が多数を占め、なお政府が辺野古移設を続行した場合について「民意が踏みにじられれば、この国では民主主義がシステムとして崩壊していることの証左だ」と述べた。
 沖縄国際大の野添文彬准教授は「自分たちのことは自分たちで決めるという民主主義や、安全保障、平和について理解を深めてほしい」と呼び掛けた。
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 辺野古移設に賛成する有識者が県民フォーラムに参加しなかったことに関し、石垣市議会で県民投票に反対する意見書を提案した砥板芳行市議は「このようなフォーラムを開催することも含め、県民が判断する材料を県が本当に提供しようとしているのか疑問だ。県が開設した県民投票のサイトにも、普天間飛行場問題の経緯が何も紹介されていない」と批判。辺野古移設について「反対意見もあるが、日米両政府で合意した計画を進めないと、普天間飛行場の撤去はできない」と推進を訴えた。
 県民投票の投票用紙は「辺野古米軍基地建設のための埋め立て」について「賛成」「反対」「どちらでもない」のいずれかの選択肢に「○」印をつけて意思表示するようになっている。

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