【視点】陸自や辺野古、反対運動は節度を

 石垣市の陸上自衛隊配備予定地を見下ろせる山で、森林が無断伐採され、住民から「反対派が駐屯地建設工事を監視するための伐採ではないか」と推測する声が上がっている。民主主義社会で反対の意思表示をするのは自由だが、違法行為まで許されるわけではない。反対派の行為であるとすれば、運動には節度を求めたい。
 森林が無断伐採された嵩田山の嵩田林道に行ってみた。道路の脇には木々がこんもりと生い茂っているが、伐採された箇所だけ、ぽっかりと穴が空いたように不自然に開けており、駐屯地建設工事が進む旧ゴルフ場が一望できる。広がる緑地の一部に工事用のブルーシートが敷かれているのも見える。ふだん予定地の外からは見えない光景だ。伐採が誰の仕業であるのかは不明だが、現場を見れば、工事の監視目的と思われるのも無理はない。
 森林が伐採された箇所は、ガードレール下の急斜面であり、作業には危険が伴ったに違いない。住民は「作業の危険性や、伐採後の木が持ち出されていることを考えると、恐らく複数の人間ではないか」と話す。組織的な行為である可能性も否定できない。
 伐採箇所は県有地であり、八重山農林高校が生徒たちのための演習林として管理している。石垣市によると、伐採には事前の届け出が必要で、この行為は森林法に違反する可能性があるという。
 嵩田林道をしばらく行くと、国の特別天然記念物カンムリワシを見かけた。周辺で営巣しているのかも知れない。森林の伐採そのものが生態系の破壊だし、チェーンソーのように大きな音を出す機械を使ったのだとすれば、なおさら、カンムリワシの営巣に悪影響を与える可能性がありそうだ。この種の行為は慎んでもらいたい。
 周辺でのドローン飛行に対しても、カンムリワシ保護の観点から危惧する声が出ている。反対派が飛行させた例も確認されているが、一定の慎重さが必要だろう。
 旧ゴルフ場の入口には陸自配備の推進派、反対派が設置した「のぼり」や横断幕があるが、20日には、推進派の「のぼり」がへし折られているのが見つかった。これも誰の仕業か分からないが、推進派への反感が理由であるなら「他人の意見を尊重する寛大さを持って」と呼び掛けたい。
 基地反対運動にはさまざまな形態があるが、集会やデモ行進などの自由は、憲法の「表現の自由」の一環として保障される。
 一方、米軍普天間飛行場の辺野古移設に伴い、米軍キャンプ・シュワブ前で反対派が行なっている工事車両の阻止は、道路交通法違反などによる逮捕者も出ていて「表現の自由」の範囲内ではない。
 現場では座り込みで工事車両が止められ、たびたび、長い渋滞の列ができる。出勤や通院を急ぐ市民には迷惑行為でしかない。中国や北朝鮮のような独裁国家であればともかく、法治国家で法令に則って進められる工事を物理的に止めようとする行為は、民主主義社会では容認されない。
 沖縄では一般的な反基地感情が根強いこともあり、反対運動に伴う違法行為が見過ごされる傾向がなかったとは言えない。一部には、違法行為を犯した反対派を英雄視するような風潮さえ蔓延している。県民自らが、襟を正さなくてはならない。

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