【視点】本末転倒な知事の尖閣発言

 玉城デニー知事は5月31日の記者会見で、尖閣諸島海域に出漁した仲間均石垣市議の漁船が中国公船に追尾されたことの見解を問われ「中国公船がパトロールしているので、故意に刺激するようなことは控えなければならない」と述べた。尖閣諸島は日本の領土、その周辺海域は日本の領海であり、石垣市民が漁業をすることには何の問題もない。しかし知事の発言は、あたかも尖閣が中国の管理下にあって、出漁した市議に非があるかのように聞こえ、本末転倒である。知事には尖閣問題に対する認識を改めてほしい。
 尖閣周辺海域では中国公船が「パトロール」と称して航行しており、領海侵入も常態化している。国際社会に対し、尖閣が中国領であることをなし崩し的に認めさせる狙いだ。日本は海上保安庁の巡視船が日夜監視に当たり、中国公船と対峙しながら、実効支配を死守している。
 仲間市議は5月23、24の両日、尖閣海域に出漁し、石垣島への帰路、約1時間にわたって中国公船に追尾された。巡視船に護衛されて事なきを得たが、住民が尖閣周辺で安心して漁をできない事態が現実に起こっている。
 玉城知事は沖縄のリーダーとして、石垣市民が気兼ねなく尖閣周辺で漁をできるよう後押ししなくてはならない立場にある。中国には抗議の意思を示し、政府には実効支配の強化を要望するのが筋だろう。しかし逆に石垣市民をたしなめるような発言が飛び出した。尖閣問題で当事者意識を欠いているからだ。
 玉城知事は会見で尖閣について「わが国の領土・領海であると以前から発言している」と語った。日中の偶発的な衝突を危惧する気持ちも理解できる。しかし知事が言うように日本側が中国を刺激しないよう漁を自重し続ければ、中国の思うつぼである。

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